インタビュー
サントリー「BOSS」の“おじさん”は誰? 人によって印象が違う表情の秘密:ロングセラーの挑戦(2/4 ページ)
サントリー食品インターナショナルが展開する「BOSS」が今年発売30周年を迎える。商品ラインアップは、海外商品も含め108。なぜそれほどまでにラインアップを拡大したのだろうか。
缶コーヒーは働く人を「叱咤激励してくれるもの」
どのような人がどのような缶コーヒーを買っているのか――。同社は、BOSSのテレビCM「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」さながらに市場調査を実施。よく売れる自販機の前に張り込んだり、メインユーザーであるタクシードライバーやトラック運転手へのインタビュー調査を実施したりした。
そこから出てきたのが、今にもつながるブランドコンセプト「働く人の相棒」だ。「缶コーヒーは“容器に入った飲み物”を超えて、働く人にとって『叱咤激励してくれるもの』だと定義しました」と話すのは、同社のブランド開発事業部 課長の大塚匠氏。
「味覚的な価値だけではなく、働く人を叱咤激励する相棒であるという定義から、BOSSという人格を伴ったネーミングと、ロゴマークの開発が進みました」(大塚氏)
92年8月に第1弾となる「ボス スーパーブレンド」を発売。缶コーヒーのヘビーユーザーを中心に据えて開発した商品だ。
歌手の矢沢永吉を起用したテレビCMやボスジャンキャンペーンなどを展開したほか、自販機のデザインも一新。これまで白地に赤い文字で「サントリー」と書かれたデザインから、紺地に白い文字で「BOSS」と書かれたものに変更。ブランドの認知度を高めていった。
この「BOSS=働く人の相棒」というコンセプトがうまくはまり、売り上げは右肩上がりで成長。2018年には、年間の販売数量が1億ケースを越えるブランドとなった。
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