Zホールディングス川辺、出沢CEOが語る展望 ヤフーとLINEの相互理解を深めて世界の“第3極”に:経営統合して1年(2/2 ページ)
「Yahoo! JAPAN(ヤフージャパン)」を運営するヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)と、LINEが経営統合して1年。ZHDの共同CEO(最高経営責任者)の川辺健太郎氏と、LINEの出沢剛氏にインタビューした。
メディア事業好調の理由
――第3四半期の決算発表ではメディア事業が好調で、特にヤフーの検索広告が大幅に伸びました。具体的には何が奏功したのでしょうか。
川辺: 広告事業の好調は、全体的にはLINE単体での広告が順調に伸びたことによるものです。検索広告が順調だったのはUIの改善など細かい努力の積み上げによる結果だと理解しています。あとはクライアントの企業さまがコロナから復調してきたことも要因かと思います。
出沢: LINE広告のユーザーの利用が増えているのに加えて、新商品を出したことでアクセス率が改善しました。広告プラットフォームを改良したのもあって本年度に関しては広告が大幅に好転しています。
――ZHDとしての今後の課題は何でしょうか。
川辺: 経営統合1年でいくつかのサービスでシナジーは生まれました。一方で課題もあります。ZHDグループならでは圧倒的な利便性の提供が、まだまだいろいろなサービスでできると思っています。ヤフー、LINEなどZHDグループ内での連携を図っていきたいと考えています。
ユーザーが便利だと思って使われているものの中に、「ロイヤリティプログラム」というのがあります。いまある「ペイペイ」「ペイペイボーナス」「ペイペイステップ」をヤフー、ペイペイ、ソフトバンクが連携してやっていますが、これにLINEやその他のグループ各社も入ってもらい、ユーザーに圧倒的な便利さを届けていきたいと考えています。
ヤフーとLINEの組織的な相互理解をさらに進めて、より良いサービスを提供し、グロ−バルにはさらに展開を進める必要があります。業績面では23年度は過去最高の売上高を目指し、現状に満足することなく業績を伸ばしていきたいと思います。
出沢: サービス面では「ロイヤリティプログラム」を基盤に、多くの分野でシナジー効果を出していきたいです。また、グローバルでもしっかりと投資して結果を出していきたい。まだまだこれからだと思います。
――グローバルサービスを拡大していくためには、どういう経営方針で臨みますか。
川辺: GAFAとBATに次ぐ世界の「第3極」になる志をもっています。日本とLINEがもともと強かった台湾やタイでは統合効果もあって、GAFAやBATに対しても十分に張り合っていけています。一方、世界を見渡した場合、まだまだな部分もありますので、グローバルで使われる商品を出していきたいですし、M&Aを通じてそういうサービスを発掘することもしていきたいと思っています。
出沢: その対抗軸で言うと、われわれの強さは国内における総合力だと思うので、それぞれのサービスでシナジーを生かして良いサービスを作ることと、「ロイヤリティプログラム」をユーザーにとってお得なものにして、UIを良くして実感してもらうことだと思います。
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