最大3カ月待ち! 冷凍パンのサブスクが右肩上がりに伸びるワケ:新たなパンの経済圏(2/6 ページ)
独自の冷凍技術を使った「冷凍パン」の宅配サービスが、最大3カ月待ちの人気となっている。2017年に創業したパンフォーユーは、新たなパンの経済圏を生み出しているそうだが、具体的にどんなことをしているのだろうか。同社の矢野健太社長に聞いた。
コロナ禍でも人気の「オフィス向け」冷凍パン
パンフォーユーは、創業当初、老舗のパンメーカーが消費者好みのパンを作る「オーダーメイドパン事業」を展開していた。しかし、需要が伸びず、18年以降はあらゆる地域のパン屋から冷凍パンを配送するビジネスモデルに切り替えたという。
18年10月からスタートしたオフィス向けの「パンフォーユー オフィス」は、同社にとって初めて成功したサービスだ。これは、最大8種類の冷凍パンが入った冷凍庫をオフィス内に設置し、定期的にパンを補充するもの。電子レンジで約40秒温めるだけで、焼きたてのようなおいしさのパンが食べられる。パンの種類は毎月変わるため、常に新しいパンが食べられる新鮮さがあるそうだ。
「導入企業は、大手から中小まで150社を超えています。開始当初は、長時間労働時の軽食や福利厚生の充実による従業員の満足度向上などを目的に多く利用されていました。ただ、コロナ禍の現状は、デスクで食べられる昼食として、あるいは飲食店が減ってしまった代わりに食事環境をよくしたいといった声がよく聞かれます」(矢野氏)
提携数は毎年2倍以上に伸びており、人気の火付け役となったのは、19年3月に生活情報バラエティ番組『がっちりマンデー』で紹介されたことだった。
「オフィスで焼き立てのようなパンが食べられる点がユニークだとして、紹介いただきました。以前は、オフィスビルの下で近所のパン屋さんがパンを販売することもあったのですが、さまざまな事情でそういったスタイルは減っているようです。テレビでの紹介を機に、サービスの注文が増えただけでなく、一般消費者の方からも『購入したい』と問い合わせをいただくようになりました」(矢野氏)
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