酒粕や廃棄ビールが“ジン”に! 担当者が「廃棄物の可能性は無限大」と語るワケ:エシカル・スピリッツ(1/3 ページ)
酒類業界で再生型蒸留プラットフォームを目指すベンチャーがいる。それが「エシカル・スピリッツ」だ。廃棄素材の酒粕を使用したクラフトジンの生産など、酒類業界で長年廃棄処分されている原料に着目。それらを活用した酒造りを展開している。
待ったなしの環境問題に対し、多くの企業では、SDGsの目標達成に向けた活動を展開している。サーキュラーエコノミー(循環型経済)が叫ばれて久しい中、酒類業界で再生型蒸留プラットフォームを目指すベンチャーがいる。「エシカル・スピリッツ」(東京都台東区)だ。
同社は、廃棄素材の酒粕を使用したクラフトジンの生産など、酒類業界で長年廃棄処分されている原料に着目。それらを活用した酒造りを展開している。同社の小野力COOに、今までの取り組みと思いについて聞いた。
酒粕の廃棄問題解決の思いから、ソリューションを提供
――酒類業界で循環型経済に着目した理由は。
小野: 「循環経済を実現する蒸留プラットフォーム」をモットーに、廃棄処分されているものを再活用し、サーキュラーエコノミーを達成していきたいという思いがあります。
なぜそうした思いに至ったかというと、酒粕の廃棄問題※が背景にあります。もともと、会社設立前から代表の山本祐也を始め、日本酒業界に携わっているメンバーが多く、酒粕が廃棄されている現状を問題視していました。
※正確な酒粕の廃棄量は分かっていないが、令和元年産酒造好適米の生産量の推計は9万7000トン。通常の酒粕の割合が25〜30%とされているので、2万4250〜2万9000トン程度が酒粕になっている計算になる。一部は、粕漬や甘酒などに利用されているが、多くは廃棄されているため、約2万トンは産業廃棄物になっている可能性がある。(農林水産省 令和元年産酒造好適米の生産状況など参照)
小野: 酒粕は日本酒の搾りかすです。アルコールが残っていたり清酒と同じ成分が残っていたりするので、これを有効活用できないかと考えました。そこで、最初のソリューションとして提供したのが、酒粕をリユースして生産したクラフトジン「LAST」です。
「LAST」は、ジュニパーベリー、シナモン、レモン、生姜などさまざまなボタニカルレシピを使用し、さわやかな味わいを演出しました。購買層は、20〜30代の若年層が中心です。
酒粕は、日本酒を生産している過程で必ず発生する副産物ですので、当社の商品によって少しでも酒粕の消費量が増えればと考えています。
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