今後はメタバースが主流? 総務は今、多様化するコミュニケーションツールをどう使いこなすべきか:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
総務領域の第一人者・豊田健一氏の連載。今回は、長引くコロナ禍で多くの企業がなかなか解決策を見つけられていない「コミュニケーション問題」について、総務の視点から解説する。
「コミュニケーションとは要求である」――これは、かのドラッカーが残した言葉だ。組織内のコミュニケーションには、何らかの要求が含まれていることを意味している。その要求とは、例えばある事象について「知ってほしい」というもの、あるいは「理解してほしい」、はたまた「共感してほしい」、そして「ある行動をしてほしい」などさまざまだ。
具体的な事象として、CSRで説明してみよう。CSRという概念を社員に知ってほしい。自社がCSRに取り組む背景や目的について理解してほしい。社員自らCSR活動を実践してほしい――このような要求、意図がある場合、例えば広報部から社員に対して、社内報にCSRの企画を掲載する、などのコミュニケーションが行われることになる。
逆にいうと、こうした明確な要求がないと、伝わるものものも伝わらない。コミュニケーションを取ろうとする者は明確な要求、意図を持ち、その要求が最も実現しやすいコンテンツと手段を用いて相手にアプローチしていく必要がある。要求レベルによって、表現すべきコンテンツ、採用すべき手段が異なってくるので、要求を明確にしておくことが必要なのだ。また、相手に行動してもらおうと思ったら、先に記した、「知る」「理解する」「共感する」という一連のプロセスが必要となり、行動まで到達するにはかなりハードルが高いことになる。
「コミュニケーションは知覚である」
ドラッカーは、「コミュニケーションは知覚である」とも表現している。「ドイツ語が分からない相手に、ドイツ語で会話しますか?」このような例えを使って、ドラッカーは説明する。たとえ自分はドイツ語で会話できたとしても、相手がそれを解さなければ、ドイツ語での会話ではコミュニケーションが成立しない。ドイツ語について自分と相手との相違を意識・認識すること、つまり知覚することが大事だからこそ「コミュニケーションは知覚である」と表現しているのだ。
確かに、この例えは誰にでも理解できる。それでも、経営トップが社員にメッセージを発信する、広報部門が社内報を発行する、開発部門が営業部門に依頼する――このような日常の何気ない場面において、コミュニケーションの不成立が生じているのはなぜか。
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