コラム
鉄道会社が使う電力はどうすればよい? 東急や東京メトロなどの取り組み:鉄道の環境戦略(2/4 ページ)
鉄道会社では近年、再生可能エネルギーへの取り組みに力を入れている。東急電鉄が開始した「再エネ100%で鉄道運行」をはじめ、各社の動向をまとめた。
非化石証書の電力で鉄道を動かす
すでに軌道線の東急世田谷線では、2019年3月より再生可能エネルギー100%電力での運行を開始している。ここで使用する電力は、東急パワーサプライ(東急グループ)の再エネ電力メニューによるものだ。一般の電源と、再生可能エネルギーの指定を受けた電源を東急パワーサプライが供給し、世田谷線を動かしている。年間約200万kWhの電力を置き換える。
加えて、東急東横線などの鉄道線の電力を非化石証書がある電力で動かす。非化石証書とは、太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電など非化石電源により発電された電力の環境価値を取り出した証書である。
この非化石証書を活用した電力を購入することで、再生可能エネルギー由来の実質CO2排出ゼロの電力とする。鉄道7路線の運行と、全駅などで使用する電力、年間約3億4900万kWhを置き換える。こちらは、東京電力エナジーパートナーから供給される。
これにより、約16万5000トンのCO2排出量削減が見込めることとなり、その量は一般家庭の年間CO2排出量5万6000世帯分となっている。
化石燃料を使用しない電力を使用することで、これだけの効果が見込めるのだ。
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