東銀座の築地銀だこで「本気のデジタル化」をしたら、何が起きた?:配膳からBGM選定まで(3/3 ページ)
「ギンダコハイボール横丁 東銀座店」で、店舗のデジタル化が進んでいる。配膳からBGM選定までデジタル化した店舗とは? デジタル化で得られた思わぬ成果とは? 話を聞いた。
デジタル化で得られた「思わぬ効果」
幅広い業務のデジタル化を一度に進めた形になったが、「導入はスムーズでした」と橋本さんは話す。
「慣れるまで多少の時間はかかりましたが、使い始めたらスムーズでした。調理場のスタッフがホールまで行かなくてすむ分、バタバタとせず集中できるようになりました」
導入の結果、ホールスタッフが7人から5人に削減できたことは冒頭にも紹介したが、成果はそれだけではない。
「システムから、時間帯ごとの売り上げや客層、売れているメニューなどが全てデータとして得られます。それによりスタッフの配置、料理の仕込みの量などを計画的に考えられ、ムダな業務が減りました」と、橋本さんは説明する。これまではそうしたデータの重要性は知りながらも、データを取る余裕がなかったのだという。
また、売れているメニューの傾向がデータで分かることにより、新メニューの開発にもつながっている。
同店では当初、一口ピザなどのタパス料理を提供していた。しかしデータを分析したところ、タパスの売り上げが伸び悩んでいるのに比べ、煮込み料理の売り上げが良いことが分かった。そこで東銀座店オリジナルのメニューとして、煮込み系メニューのラインアップを増やしたそうだ。
データにより、新型コロナウイルスが顧客のオーダーや利用方法にも影響を与えていることも分かった。何件も居酒屋を変えて飲み歩く人が減ったからか、従来より1組当たりの滞在時間が長くなり、客単価も上がっているのだ。
さらに、メニュー選定にも影響がある。
「コロナ禍で、お客さまが、どのような商品をお求めになるかにも変化が現れています。例えば、もともと人気メニューだった焼きそばは、シェアしづらいということもありオーダーが減っています。こうした状況もデータを取ることで一目瞭然になりました。データを取ることの重要性を、あらためて感じています。これからもメニューの入れ替えなど、臨機応変に対応していきたいです」と、橋本さんは意気込む。
コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食店だが、同店では、新たな取り組みにより顧客に合わせたメニューの充実、提供する料理の質の向上、接触の少ない接客など、効率化や省人化を実現した。
DXの波は、飲食店にも及んでいる。ウィズコロナの苦境を乗り切るためにも、前向きにDXを推進し、未来に向けた新たな店舗運営への変革が求められている、といえそうだ。
【※編集履歴 2022年4月11日午後3時58分:記事初出時、USEN「まるっと店舗DX」の名称に誤りがありました。お詫びして訂正いたします】
【※編集履歴 2022年4月11日午後9時15分:記事初出時、「ギンダコハイボール横丁 東銀座店」を正式名称に改めました。お詫びして訂正いたします】
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