イオン決算 売上高8.7兆円越えで過去最高も、セブン&アイに届かず業界2位に:コロナの打撃から回復できるか(3/3 ページ)
イオンが2022年2月期通期の連結決算を発表した。売上高にあたる営業収益が8兆7159億円。前期比1.3%増で、過去最高額だった。ただし、セブン&アイホールディングスの売上高には届かず、国内の小売業界売り上げ首位の座をセブン&アイHDに明け渡すことになった。
総合スーパー事業、スーパーマーケット事業は?
GMS(総合スーパー)事業は、営業収益3兆3004億5000万円(同98.2%)、営業損失23億2100万円(前期より87億9400万円の改善)だった。前期に引き続き、コロナ禍での消費の落ち込みの影響を受けているが、収益性改善に取り組んでいる。
食品の売り上げが伸び、衣料では荒利益率が改善した。経費はコロナ禍以前の前々期と比べ、155億円削減している。
構造改革として、デジタル化に注力している。デリカ部門では販売実績や天候・客数などの条件を学習し、適切な価格を設定するAIを導入し、利益率の改善に貢献。店舗へのセルフスキャンシステムの設置や、後方業務でのRPA活用も進めた。
SM(スーパーマーケット)事業は営業収益2兆5206億7800万円(同98.9%)、営業利益 305億3900万円(同73.3%)。DS(ディスカウントストア)事業は営業収益3881億1100万円(同97.7%)、営業利益27億5900万円(同61.4%)。
これらの部門はコロナ禍で巣ごもり需要が増えたため、前期からは減収減益だが、コロナ禍以前の前々期比では大幅に増益している。ネットスーパー、オンラインデリバリーなどを導入して、多角化する消費者のニーズへの対応を進めている。
22年度はどうなるか?
イオンは23年2月期通期の業績予想として、営業収益は過去最高の9兆円、当期純利益は250億〜300億円と、コロナ禍前の水準への復活を見込んでいる。新型コロナウイルスの感染状況緩和による消費マインドの回復を予想している。
同時に、21〜25年度の中期経営計画として、デジタル化の加速、PB商品の拡大やSPA型(企画から製造、販売までを垂直統合させる方式)の商品開発の強化、M&Aを含むドラッグストア事業の拡大、アジアを中心とした海外営業の利益比率の向上などを成長戦略に掲げている。
23年2月期では、GMS事業とサービス・専門店事業を黒字転換し、全てのセグメントでの増益を狙う。
セブン&アイHDが北米を中心とした海外進出の強化などで攻勢をかける中、今後も小売り大手2社の経営がどのように変化していくか、注目が集まる。
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