何度も使える「2750円のタオル」は、なぜ1週間で完売したのか:水曜日に「へえ」な話(4/5 ページ)
タオルの価格は2750円――。この話を聞くと「高いなあ」「誰が買うの?」と思われたかもしれないが、吸水スポンジメーカーのアイオンが発売したところ、売れに売れているのだ。高価なタオルは、どのような構造をしているのかというと……。
棒に巻き付けて完成
「価格が高いこと」「生産性をよくすること」この2つを解決するためには、どうすればいいのか。工数をかけずに、大量生産できるモノにしなければいけない。suuuのような複雑なデザインにするとコストがかかってしまうので、できるだけシンプルなモノにしなければいけない。
話がちょっとそれてしまうが、クッキーをつくるとき生地を伸ばして、そこに型抜きをする。その型抜きのデザインが複雑であれば、生地にあまりがでてくる。ソフラスも同じように、型抜きをしていくわけだが、そこで複雑なデザインにすれば、破棄する部分が増えるのでコストが高くなってしまう。それではいけないので、コストを抑えようとすると、デザインはどうしても「スポンジ」か「ハンカチ」のようになってしまうのだ。
「人気スマホをつくるときに使われていた」「機能性は世界シェアが証明」といったキャッチコピーを使っても、形状が「スポンジ」であれば、消費者はどのように感じるだろうか。ワクワクしない。心を揺さぶられないモノに、2000円以上もするタオルを購入するだろうか。本橋さんと今井さんが出した答えは「いない」である。
「いない」を「いる」にするには、どうすればいいのか。価格を抑えて、つくりやすくして、オシャレにすればいい。この3つの課題を解決すれば、なんとかなるのかもしれない。そこで、着目したのが「ロール状」である。ソフラスのカタログをじっくり見ていると、ロール状にできることが分かってきて、それをうまく活用することはできないかと考えた。
棒にまきつける形であれば、コストを抑えることができる。スポンジよりも薄く、ハンカチよりも厚くしたモノを巻き付ければ、一丁あがりである。試作品をつくったところ、想定以上に「カッコイイ」ものができあがった。「ビジネスパーソンが背負っているリュックにサイドポケットがありますが、使っていない人がいますよね。そこに入れる商品をつくれば支持されるかもしれない」(今井さん)と考え、形はスティック状に決まった。
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