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「勘違い」だらけの裁量労働制 労働時間や手当の知られざる実態は:これからの「労働時間」(2)(2/4 ページ)
裁量労働制は、業務に対する裁量性が大幅に本人に委ねられている柔軟な働き方だ。出退勤の自由だけではなく、効率よく働けば会社の所定労働時間以下の稼働でも許される制度だが、誤解も多い。この記事では、正しい裁量労働制の手続きや成約と、労働時間や手当の実態を解説する。
平日の月〜金はみなし労働時間を超えて働いても残業代は支払われないが、深夜(午後10時〜午前5時)や土・日・休日に働くと割増賃金の支払い義務が生じる。
労使協定には、その他に以下の事項を定める必要がある。
- (1)対象とする業務
- (2)対象労働者の範囲(企画型)
- (3)対象労働者の健康・福祉確保措置(企画型は6カ月に1回労基署に定期報告)
- (4)対象労働者の苦情処理措置
- (5)本人同意を得ること、及び不同意の労働者に対する不利益取扱いの禁止
懸念される長時間労働
冒頭で裁量労働制は出退勤の自由だけではなく、所定労働時間を下回っても構わないと述べたが、逆に懸念されているのが長時間労働だ。
効率よく仕事をしてプライベートを重視したい社員もいれば、仕事大好きのワーカホリックもいる。あるいは裁量労働であっても上司に頻繁に仕事を振られ、長時間労働を強いられる社員もいるかもしれない。
そのため裁量労働制の対象者であっても労働時間の把握が使用者に求められている。また(3)の健康・福祉確保措置に盛り込む事項として、以下の6つの措置を例示している。
- 代償休日または特別な休暇の付与
- 健康診断の実施
- 連続した年次有給休暇の取得促進
- 心とからだの健康相談窓口の設置
- 適切な部署への配置転換
- 産業医などによる助言指導または保健指導
では実際に裁量労働制で働いている人の満足度など、裁量労働制の実態はどうなっているのか。
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