ワークマンの靴専門店、業界一強「ABCマート」の牙城を崩せるか:磯部孝のアパレル最前線(1/5 ページ)
ワークマンは4月1日、スピンアウトさせた新業態「ワークマンシューズ」が、大阪市の商業施設「なんばCITY」オープンした。日本のシューズ市場はエービーシー・マート一強の時代が続いている。その理由とは?
ワークマンよりスピンアウトさせた新業態「ワークマンシューズ」が4月1日、大阪市の商業施設「なんばCITY」にオープンした。売場面積122平方メートルで、すでに営業中の「#ワークマン女子 なんばCITY店」の真向かいに位置する(関連記事)。
この新業態の開発理由は、2021年決算にあったという。同社の一般靴カテゴリーは過去3年に渡って売上高が倍増。既存店の靴売り場の拡張が難しくなっている中、一般靴の売り上げは前年比140%以上で伸長し、年間売上高は100億円を突破した。既存の靴売り場スペースの限界を打破するために単独で出店する靴専門店の開発に至ったようだ。
日本のシューズ市場はエービーシー・マート一強の時代が続いている。2010年に「SHOE・PLAZA」や「東京靴流通センター」を率いるチヨダの売上高を抜いて、名実ともに日本一の靴チェーンストアとなった。
その差は広がるばかりで、22年2月期の決算を見てもエービーシー・マートの売上高は2439億円(前年同期比10.8%増)、営業利益274億円(同40.7%増)なのに対し、業界2位であるチヨダの靴事業は、売上高が704億円(同5.4%減)、営業損益は33億円の赤字(前年同期は33億円の赤字)。その差はダブルスコア(国内売上高1697億円)以上に開いてしまっている。
1936年創業のチヨダと、後発組(85年設立)だったエービーシー・マートで、売上高の差をつけたものは一体何だったのだろうか。筆者が考える一番大きな要因は、NB(ナショナル・ブランド)の取り込み戦略があったかどうかだと考える。
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