「最近の若者はすぐ辞める」と怒る前に知るべき、「仕事が合わない」と言い出す新人の真実:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
“辞める新入社員”が話題になる季節だ。近年は「仕事が合わない」と話す若者が特に目立ち、連合の調査でも退職理由のトップとなっているが、これにはキャリア教育や上司とかかわりが深く関係しているという。「仕事が合わない」と言い出す新人の真実とは――。
“辞める新入社員”が話題になる季節がやってきました。
「入社1週間目に、『なんかやりたい仕事と違う』と言ってきた後、連絡が途絶えて辞めた」
「ひと月の新入社員研修が終わって、5月からうちの部署に配属。『自分にこの仕事は合っていない』と言って、2週間目に辞表を出した」
「母親から『息子が思っていたような仕事ではないので、辞めてさせてください』と連絡があって、去っていった」
「昨年の秋、配属になった社員。『この職場では僕の個性がつぶされる』と辞めた。一年たって、これからだって時なのにがっかり」
――など。これまでも、“仕事が合わない”と辞めてしまう若者があとを絶ちませんでした。
2000年代以降、辞める新入社員が問題視されるようになりました。
とりわけ“ゆとり世代”が社会人になった10年頃からは、就職氷河期の直後で就職率が低いにもかかわらず離職率が増加。「若者が3年以内に仕事を辞める傾向が高まっている」という調査結果があちこちで取り上げられ、「このままいったら、3年以内で辞める大卒者の離職率は5割を超える」と危惧する声も出るほどに。
何かと批判の的にされた“ゆとり世代”が「自分に合わない」「やりがいを感じない」「好きなことができない」と辞めていくことに、「だからゆとり世代は……」と、あたかも彼らに問題があるかのような言説が増えていきました。
むろん、ゆとり世代に罪はありません。若者の「好きな仕事探し」は、ある意味、キャリア教育の成果です。
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