コラム
悩みがあった東武鉄道にとって、東京スカイツリーはどんな存在になったのか:開業10周年(1/4 ページ)
開業10周年を迎えた東京スカイツリー。「とうきょうスカイツリー駅」や商業施設を含む「東京スカイツリータウン」を運営する東武鉄道から見た戦略的意義とは。
5月22日、東京スカイツリーが開業10周年を迎えた。当日は歌舞伎役者の市川海老蔵が「にらみ」を披露し、お祝いのムードに華を添えた。
東京スカイツリーは、電波塔である。東京の主だったテレビ、ラジオ局(ただしFMのみ)が、この場所から電波を出し続けている。
なぜ、この場所に電波塔が立ったのか。それまで電波塔の役割を果たしてきた東京タワーでは、高層ビルが林立する状況により電波が届かない場所が出てきていた。そこで、より高い電波塔が必要になったのだ。
NHKや在京民放キー局が高さ600メートル級の電波塔を求め、タワーを立てる計画を立てたのが始まりである。ちょうど、地上波はアナログ放送からデジタル放送への切り替えを控えていた。
さまざまな候補地が検討された結果、白羽の矢が立ったのは東武鉄道の貨物駅跡地と、生コンクリートの製造工場の土地だった。高さ制限があったものの、2005年に制限は見直された。
東武鉄道からすれば、当初はテレビ局の計画に巻き込まれたともいえる状況だったのかもしれない。しかし、同社主導の複合開発事業とすることで、東京下町エリアへのテコ入れができることになった。
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