売り上げよりも営業利益 オラクル出身の「イトーキ社長」に聞く“オフィス3.0”の意義:新しいかじ取り役(4/6 ページ)
社外から初めて次期社長としてイトーキに招聘されたのが3月に社長に就任した湊宏司氏だ。湊氏はIT大手の日本オラクルで最高執行責任者(COO)を務めていた。イトーキの新しいかじ取り役に、今後の方針を聞く。
どんな場所でも働ける
――異業種ともコラボレーションしているようですが。
例えば、ある音響メーカーとのコラボレーションでは、収音マイクを什器に内蔵することにより、グループディスカッションの際に、発言者ごとの音声を拾い、さらに、その音声を解析することで、グループ討議で誰が議論をリードしていたかなどの分析をしています。今後もデジタル領域においては、ICT企業とのコラボレーションを積極的にしていくつもりです。
――その場合、対象者からみると、そこまで知られたくないという観点もあると思いますが。
個人情報を特定しないことは技術的にできます。また、カメラなどが多く配置されていると、見られているという印象を与えるので、間仕切りや机の中にカメラを埋め込むことで、対象者側からは分からないようにできますから、そういった工夫ができるのがイトーキならではの強みになるのではないかと思います。
――働き方改革の視点からすると、「オフィス3.0」はどのように変わってくるのでしょうか。
オフィスの中では働き方の目的に応じて移動するようになり、ワークプレイスとスタイルは、在宅、会社、あるいは「Work from anywhere(どんな場所でも働ける)」というようになります。その中で、同じところに長時間座っているよりも、移動すると生産性が上がるという結果が出ています。
また、「3時のおやつ」とよく言われますが、3時ごろに休憩を取っているチームの方がパフォーマンスが高いというデータも出てきています。しかし、決まった法則があるわけではありません。当社でも、生産部門と営業部門では働き方が明らかに違いますし、個別の会社によっては事情が異なるので、そのニーズに応じた対応をする必要があります。
「オフィス2.0」のときまでのように、オフィス家具を売ったらそれで終わりでなく、導入した後のことも重要です。これはIT業界で起きた、オンプレミスからクラウドに移ったのと近い流れだと感じています。「3.0」になると、異業種との境目がなくなり、ゲームチェンジが起きるので間口を広くしておくつもりです。
いまはローエンドのオフィスで子会社を使って椅子や机のサブスクリプションのビジネスを、子会社を使って手掛けています。アイデア段階ですが、ハードも含めてオフィス空間も含めてサブスクすることもありかなと思っています。オフィス家具の世界は一見、サブスクと無縁のようですが、チャンスはあると思っています。
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