厳しい中でどう戦うのか JR東海「強者の戦略」と銚子電鉄「弱者の戦略」:生き残るには(2/5 ページ)
長引くコロナ禍が、鉄道会社の経営に大きな影響を与えている。そんな中、徹底した「強者の戦略」で存在感を示すJR東海や、「弱者の戦略」を取る銚子電気鉄道などもある。2社の狙いとは。
東海道新幹線をもとに未来を示すJR東海
2022年5月、JR東海の葛西敬之名誉会長が亡くなった。同氏については、さまざまな意見があったが、JR東海の経営基盤確立に力を入れ、乗客の多い東海道新幹線を運行していることを強みとし、徹底した「強者の戦略」で企業の存在感を確立した。
JR東海は、東海道新幹線と中部地方の在来線を運行する鉄道会社である。鉄道事業への依存率が高く、多角化できる場所は名古屋圏にしかない状況である。実際に名古屋では高島屋と協力し百貨店を運営。ホテル事業も展開しているが、ほかのJRに比べれば存在感は出せていない。
21年度末の決算短信では、運輸業の売上高7176億1800万円、ホテル業の売上高338億900万円(各連結)と、桁が大きく異なり、ホテル事業の規模は小さいといえる。JR東海ホテルズは6軒のホテルを運営しているものの、JR東日本系列のホテルどころか、JR北海道の8軒よりも少ない件数となっている。ただし、JR北海道のホテルは宿泊特化型のホテルも多いので単純には比較はできないが、エリアのわりに多店舗展開していないのは確かだ。
鉄道事業でも、収益力があるのが東海道新幹線である。21年度末の決算短信補足説明をみると、新幹線の運輸収入が5898億円、在来線の運輸収入は673億円となっている。この傾向はJR東海発足時からずっと変わっていない。
そこで、どんな手を打ったのか。東海道新幹線の線路を、新幹線鉄道保有機構から自社のものにした。この機構があることで新幹線に対する設備投資が思うようにできず、事業の足かせとなっていると判断した。
東京、名古屋、大阪の都市圏を高速で移動できる。この強味を生かすために、「強者の戦略」を打ち立てたのだ。
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