厳しい中でどう戦うのか JR東海「強者の戦略」と銚子電鉄「弱者の戦略」:生き残るには(3/5 ページ)
長引くコロナ禍が、鉄道会社の経営に大きな影響を与えている。そんな中、徹底した「強者の戦略」で存在感を示すJR東海や、「弱者の戦略」を取る銚子電気鉄道などもある。2社の狙いとは。
「リニア中央新幹線」構想も
1992年3月には「のぞみ」を運行開始。時速270キロが可能な新型車両「300系」を導入して、飛行機との勝負に出た。朝晩2往復を、東京〜新大阪間で運行した。東京発朝一番の列車は、新横浜を出ると新大阪まで停車しなかったので多くの人が驚いた。
翌93年には毎時1本に。山陽新幹線にも乗り入れる。
当時、「ひかり」「こだま」は0系や100系を使用、最高速度は時速220キロだった。100系は2階建て車両があり、編成によっては食堂車もあったため人気があったが、車両の基本的な部分は0系のマイナーチェンジであり、どうしても高速化という観点からは無理があった。
300系「のぞみ」は100系を駆逐し、東海道新幹線はより高速に巨大都市圏を行き来するようになった。その後は新型車両を続々と導入、加減速性能も向上し列車ダイヤの密度も高めた。ここに力点を置くことが、JR東海の企業戦略だった。
一方、葛西名誉会長はリーダー論などの著書でも知られる。同氏はリーダーとしてどんな未来を示したのか。
リニア中央新幹線である。「リニア中央新幹線をつくる」という目標を打ち立てて、東名阪の三大都市圏は発展し続けることを前提に企業の未来構想を示した。リーダーの仕事の一つに、未来を示して戦略を立てることが挙げられるが、それを見事に実践した経営者といえるだろう。
もちろん、リニア中央新幹線にはさまざまな問題や課題があり、現時点でいつ開業できるのか不透明な部分がある。しかし、「リニア中央新幹線と東海道新幹線で東名阪エリアを繁栄させて日本を強くする」という「強者の戦略」を打ち立て、それに沿って企業が動いているのも確かである。そのストーリーをJR東海で働く人たちが共有することで、強い組織となりよい経営状態を保っている。
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