コラム
厳しい中でどう戦うのか JR東海「強者の戦略」と銚子電鉄「弱者の戦略」:生き残るには(4/5 ページ)
長引くコロナ禍が、鉄道会社の経営に大きな影響を与えている。そんな中、徹底した「強者の戦略」で存在感を示すJR東海や、「弱者の戦略」を取る銚子電気鉄道などもある。2社の狙いとは。
銚子電気鉄道に見る「弱者の戦略」
厳しい鉄道会社は多くある。その中で話題になりやすいのは銚子電気鉄道である。
銚子電気鉄道は、税理士の竹本勝紀氏が社長を務めている。竹本社長が就任する前から「ぬれ煎餅」などの副業が話題になっていて、そちらで利益を得て鉄道事業にまわす構造となっていた。
最初は顧問税理士から始まった。経営難を救うために始めた「ぬれ煎餅」のネット販売で大きな成果を収め、社外取締役になる。竹本氏の貢献で借金は返済、現預金も確保できたが、そこに東日本大震災がやってきた。再び経営難に陥り、そのピンチを乗り切るために社長に就任した。
千葉県や銚子市の補助金があってもいいじゃないか、という考えもあるかもしれない。しかし、銚子電気鉄道には“暗い過去”があった。経営陣の横領などガバナンスの問題を抱えていたため、補助金や融資を受けられる状態ではなかったのだ。普通だったら倒産しているはずだ。その場合、電車も運転されなくなり廃線となる。
竹本社長は千葉県の中小企業再生支援協議会の協力を得て、再生計画を1年かけて完成。銚子電気鉄道運行維持対策協議会ではこの鉄道の必要性が認められた。13年には当面10年間の車両、設備更新費用7億6000万円のうち3分の2を国や千葉県、銚子市が負担し、残りを鉄道事業の運賃改定や食品販売などの増収、つまり自助努力でまかなうことになった。
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