JR東海、JR東、JAL、ANA、東京メトロ まさかの「呉越同舟キャンペーン」はなぜ生まれたか:交流人口を取り戻せるか(1/4 ページ)
JR東海、ANA、東京メトロ、JAL、JR東日本の5社は「ただいま東京」キャンペーンを共同で実施した。その理由に迫る。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、大きな打撃を受けた産業の一つに旅客輸送業がある。テレワークの普及によって、毎朝電車に乗って都内の会社に出勤するという「常識」ですら過去のものになり、まず鉄道業界が大打撃を受けた。会社への移動すらなくなれば、会社員の遠方への出張機会も当然に激減した。新幹線や航空機の利用機会も減っている。
ビジネス利用だけでなく、観光利用への影響も甚大だ。まず、コロナ禍前は海外からの旅行客需要を表す「インバウンド」が一つのキーワードになっていたが、これも大きく減ってしまった。国内の移動については度重なる「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」や、特に地方在住の人にとっては、不要不急の移動によってコロナ感染への不安からなかなか需要が回復しなかった。
この実態は大手旅客輸送事業者の業績にも表れている。例えばJR東海、全日本空輸(ANA)、東京メトロ、日本航空(JAL)、JR東日本の5社は、いずれも2020年度、21年度共に2期連続の赤字決算となった。中でも旅客鉄道会社への影響は大きく、JR東海とJR東日本、東京メトロは民営化後一度も赤字決算を出したことがなかったにもかかわらず、いずれもコロナ禍初年度の20年度決算で初の赤字となった。21年度決算でも赤字から抜け出せない状況が続いている。
だが、22年4月以降は順調に回復している。オミクロン株の流行も落ち着き、3回目のワクチン接種も進んだことで、感染者数の拡大も収束しつつあるからだ。22年のゴールデンウィークでは3年ぶりの「制限なし」の大型連休となり、全国各地の観光地では賑わいをみせた。
これに伴う感染再拡大も懸念されたものの、6月13日の東京都の新規陽性者数は960人で、半年ぶりに1000人を下回った。翌14日の都の発表では、都が統計を取り始めた20年4月以来初の重症者数0人を達成した。経済活動を回しながらも収束に近づいてきており、22年度に入り明らかに状況が改善してきているのだ。
こうした社会情勢の中での6月13日、JR東海、ANA、東京メトロ、JAL、JR東日本の5社は都内で共同会見を開いた。旅客需要の回復をより促進させる「ただいま東京」キャンペーンを5社共同で13日から実施している。第一弾としては、旅行者がこれまでに訪れた東京の好きなスポットや、行きたい場所や思い出の場所などを「#ただいま東京」というハッシュタグでInstagramやTwitterで投稿すると、抽選で賞品が当たるというものだ。応募期間は9月30日(金)まで続く。
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