JR東海、JR東、JAL、ANA、東京メトロ まさかの「呉越同舟キャンペーン」はなぜ生まれたか:交流人口を取り戻せるか(3/4 ページ)
JR東海、ANA、東京メトロ、JAL、JR東日本の5社は「ただいま東京」キャンペーンを共同で実施した。その理由に迫る。
「普段はライバルでもある5社でありますが」
こうした現状から、JR東海が中心になって5社共同で立ち上げたのが「ただいま東京」キャンペーンだ。JR東海の杉浦営業本部長はこう続ける。
「普段はライバルでもある5社でありますが、ここは業界を超えて手を携え、様々な取り組みを共に行うことで『そろそろ東京に行きたいな』という気持ちを全国のお客さまに後押ししたいと考えています。この5社共同で一つのキャンペーンに取り組むのも初の試みで、東京で全国からのお客さまをお出迎えできるよう、一緒に進めて参ります」
地方から東京への人の移動の回復が弱い、一つの要因としては、東京と地方で新型コロナウイルス感染への受け止められ方の違いがあると考えられる。東京では新型コロナウイルスに感染したとしても、各企業の対応はほぼマニュアル化されており、特に現役世代のワクチン接種者であればインフルエンザなどの感染症とさほど大きく変わらない対応がとられている。
感染経路も、地方に出張したからなのか東京で感染したかの特定も難しい。少なくとも、東京でコロナに感染したからといって住んでいる場所で村八分にされることも、仕事上で不利になることもほとんどなくなってきている。
だが、地域社会では旧態依然とした受け止められ方をされるところも少なくない。地域コミュニティーの大きさにもよるが、「誰々さんがコロナに感染した」という“ニュース”がいまだに地域のうわさ話に絶えずのぼり続ける地域もまだ珍しくない。ワクチン接種の普及で、実際にコロナに感染した時の病理的なリスク自体は低くなってきているものの、社会的なリスクは依然として高いままなのだ。この社会的リスクをどう下げていくのかは今後の課題といえる。
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