店内に「植林」したアウトドア店の狙いは? オンラインでは味わえない“イマドキ”リアル店舗の魅力:磯部孝のアパレル最前線(2/4 ページ)
今年のゴールデンウイークは、行動制限がかからない大型連休として、近隣の観光地や百貨店などレジャー・消費ともおおむね活況に終わった。アフターコロナを見据え、リアルならではの魅力を発信する店舗の様子を取材した。
店内に盛り土を敷して植林
UPI表参道店の造りは何と言っても個性的。店内に足を踏み入れてみるとまるで外にいるかのような「自然エリア」と、その自然と対比したかのようにパネルで仕切られた「展示エリア」とある。
ショップ内に緑を取り入れるために鉢植えの観葉植物を置くケースがあるが、「自然エリア」では店内に盛り土を敷いて“植林”している。時間に合わせて調光調色がプログラムされたLED照明で光合成を促し、サーキュレーターと喚気システムで自然に近い規則性のない空気の動きを作り出している。既存構造物の壁、梁、天井部分はコンクリートの状態のまま、この自然との調和を試みている。
取り扱い商品の物販スペースとなる「展示エリア」は有孔ボードによる間仕切りがされ、展示ブースが連なった印象。このボードの特長は何といっても商品の形状に関わらず有孔部分を使った商品展示ができる点だ。
商品陳列というより“商品展示”といった趣は、ブランドの世界観や商品の魅力を伝えるに適した環境のようにも思える。実際、こだわりの焚火道具ブランドの「TAKIBISM (タキビズム) 」のような日本のクラフトマンシップが息づくような商品は、小さなモニター越しに制作動画と合わせて実際に手にして質感や重さを体感できるようにしている。
唯一の店内家具として一番奥のブースに鎮座する展示テーブルは、茅葺(かやぶき)職人の相良育弥さんが茅で形づくり、左官職人の都倉達弥さんが漆喰(しっくい)で天板を仕上げたテーブルだ。重厚さ漂う雰囲気とともに存在感がある。
店内に持ち込んだ「自然エリア」と、こだわりのある商品を集めた「展示エリア」から家具に至るまで、実体験でしか得られない、アウトドアの魅力を深く追い求められたような店舗だと感じる。
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