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店内に「植林」したアウトドア店の狙いは? オンラインでは味わえない“イマドキ”リアル店舗の魅力磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)

今年のゴールデンウイークは、行動制限がかからない大型連休として、近隣の観光地や百貨店などレジャー・消費ともおおむね活況に終わった。アフターコロナを見据え、リアルならではの魅力を発信する店舗の様子を取材した。

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原宿にはスイス発スポーツブランド「On」のフラッグシップショップ

 空きテナント跡の生々しさが残る、明治通りに並走する原宿キャット・ストリート沿いには、スイス発スポーツブランド「On」のアジア初フラッグシップストア「On Tokyo(オン トーキョー)」がオープンした。

表参道
原宿にはアジア初フラッグシップストア「On Tokyo(オン トーキョー)」がオープン(提供:オン・ジャパン)

 4月にオープンしたOnは、2010年に元プロアスリートのオリヴィエ・ベルンハルドさんが友人のデビット・アレマさん、キャスパー・コペッティさんと立ち上げたブランド。コンセプトは「ソフトな着地と爆発的な蹴り出し」に特化したランニングシューズを中心にアパレルまで取りそろえている。

 1、2階の2層からなる店舗面積は約300平方メートルで、内装は本国のデザインチームが手掛けた。建物の素材を生かしてグレーを基調に仕上げている。

 ランニングなどの「アクティビティー」にシーンが限定されていることや日本でのブランド知名度がいまだ高くない分、商品パフォーマンスの良さを体感できる演出に徹しているようだ。

表参道
(提供:オン・ジャパン)

 1階フロアでは、商品に使用している生地に風を当てて、通気性や防風性を確認できる演出がある。2階ではソールに搭載している着地の衝撃を吸収する特許技術「クラウドテック」、靴に合わせて搭載しているポリプロピレン製の「スピードボード」プレート、トレイル向けのアウトソール「ミッショングリップ」の機能性を紹介するインスタレーションなどある。

 2階には、個人に合わせたシューズを提案する「ランスキャン」というパーソナルサービスを用意している。天井と足元に震度計を組み込んだカメラを設置し、来店客が走ることで走行データを測定し、約5万人のデータが蓄積されているデータベースに転送することで、その人のランニングスタイルを分析するというもの。また、誤差1.25ミリメートルの深度カメラで足を測定する「フットスキャン」もある。

表参道
(提供:オン・ジャパン)

 店内什器(じゅうき)は可動式タイプが多く、1階は向きを変えることでシューズ、アパレルそれぞれの陳列に対応している。2階の1面に設置するシューズを配した棚は水平に引き出すことができ、中にはサイズ別に商品の収納スペースに使われている。1階フロア奥にはモーションセンサーを備えたLEDモニターを設置。流れるグラフィック映像は時々かわるが、人が近づくと模様などが変化する。

 こうした最新テクノロジーも備えた店舗ではあるが、ブランド認知を狙った大型プロモーションが控えている訳でもない。それでも2010年のブランド誕生から今日まで世界50カ国、約6000店舗で商品展開できているのは、SNSを介したファン・コミュニケーションから広がっていったというのだから、イマドキなブランドの広がり方という感覚だ。

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