連載
モンスト脱却目指すミクシィ、ゲームの次が公営ギャンブルとスポーツ事業なワケ:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/8 ページ)
今回取り上げるのはミクシィです。もともとは社名の通りでSNSの「mixi」として成長してきた企業ですが、その後は「モンスターストライク」が大ヒットしてモバイルゲームが中心の企業となっています。
直近は減収減益
続いて直近の22年3月期の業績を見ていきましょう。
- 売上高は1.0%減の1180.9億円
- 営業利益は22.9%減の160.6億円
- 経常利益は26.0%減の170.2億円
- 純利益は34.6%減の102.6億円
で減収減益となっています。
これまで見てきた、スクウェア・エニックスやカプコンといったゲームソフト企業は22年3月期の方が成長していましたが、モバイル中心のミクシィはそうではなかったようです。
モバイルゲームは、例えば移動の合間で遊ぶように、隙間時間をうめるコンテンツでもあります。コロナの影響があり在宅時間が増える中で、隙間時間は減少していましたから、専用ハードを使うようなリッチなコンテンツの方が需要が増えていたということでしょう。
続いてもう少し詳しく業績を見ていきます。
ミクシィの事業セグメントは(1)デジタルエンターテイメント事業(ゲーム事業)(2)スポーツ事業(3)ライフスタイル事業と3つあります。
それぞれの事業の業績の推移は
- デジタルエンターテイメント事業:売上高912.1億円(9.3%減) 利益388.4億円(13.2%減)
- スポーツ事業:売上高185億円(45.7%増) 利益53.4億円の赤字→51.4億円の赤字
- ライフスタイル事業:売上高83.7億円(38.9%増) 利益3.9億円の赤字→0.7億円の赤字
となっていて、主力のゲーム事業はまだまだ大きな利益は出ているものの減収減益となっています。
23年3月期のゲーム事業の通期の予想としても、モンストの下落トレンドが持続する中で売り上げは10.1%減を見込んでいますから、モンストの業績悪化は止まらないようです。世界でみるとモバイルゲーム市場はまだまだ成長市場ですが、日本国内のモバイルゲーム市場はかなり低成長となっていますから、市場面で考えても成長は難しいでしょう。
関連記事
- 「スイッチ買ったばかりなのに、もう次のハードが出るの?」 任天堂を悩ます次世代機の投入タイミング
4回に渡りゲーム企業の決算を取り上げて、日本のゲーム業界の現状と今後について考えていきます。今回取り上げるのは任天堂です。もちろんご存じの通りで「ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)」などのハードも製作していますし、「スーパーマリオ」や「どうぶつの森」などのソフトも製作している日本を代表するゲーム企業です。 - 4年間で15%→36%に カプコンの営業利益率はなぜ急上昇したのか
今回取り上げるのはカプコンです。モンスターハンターやバイオハザードなどの人気ゲームを提供している企業で、家庭用ゲーム機向けのゲームソフトをメインに提供しています。営業利益の推移を見ると、20年3月期は大きく伸びていて右肩上がりで成長を続けています。どうして利益率が伸びていたのでしょうか? - リアルマネートレードを収益化? スクエニがブロックチェーンゲームの本命といわれるワケ
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。今回取り上げるのは、スクウェア・エニックス・ホールディングス(以下スクエニ)です。ご存じの通り、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで知られている企業です。 - サイゼリヤがコロナ前をはるかに上回る利益水準になった理由
決算書で分かる日本経済の動向という事で、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのはサイゼリヤです。もちろんイタリアンのファミリーレストランであるサイゼリヤを運営している企業です。 - コメダ珈琲は、なぜコロナの悪影響をあまり受けなかったのか?
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。第3回目として取り上げるのはコメダホールディングスです。もちろんコメダコーヒーの運営をしている企業です。 - マクドナルドのテークアウト/デリバリー成功の要因はどこにあった? 絶好調で時短協力金も辞退
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのは日本マクドナルドホールディングス、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの国内展開をしている企業です。 - 吉野家は、飽和する国内市場でなぜ郊外と女性に目をつけたのか?
今回取り上げるのは吉野家ホールディングスです。牛丼チェーンの吉野家を中心に展開していて、それ以外にも大きなチェーンでははなまるうどんもこの吉野家グループの企業です。最近は本業以外の部分でも話題になることが多い吉野家ですが、今回はそんな吉野家の現状と今後について考えていきましょう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.