上野動物園の双子パンダ、308億円の経済効果 “ネコノミクス”超えなるか?:シャオシャオとレイレイ、1歳に(2/5 ページ)
上野動物園で産まれた双子のジャイアントパンダ「シャオシャオ」「レイレイ」が6月23日、1歳を迎える。双子パンダがもたらす経済効果は試算によると300億円を超えるという。経済効果の大きい動物としてよく話題に上がる「ネコ」と比較してみたところ……。
双子パンダの誕生で最も恩恵を受ける「業界」は?
今回紹介する経済効果とは「ある出来事によって生じる経済的な効果をシミュレーションし、特定の国や地域に及ぼす影響を金額で表したもの」だ。算定時に用いられるのは「経済波及効果」という考えで、「直接効果」「一次波及効果」 「二次波及効果」の3つから成り立っている。
直接効果は、双子パンダを見るために上野動物園へやってきた観光客が、現地で消費する金額の総額だ。例えば、入園料、飲食費、交通費、宿泊費、土産やグッズ代などが当てはまる。
一次波及効果は、直接効果で消費される原材料の生産増加に伴い、原材料の販売や製造に関わる企業の売上増加額を指す。例えば、シャオシャオとレイレイが誕生したことで、ぬいぐるみや菓子、文房具などの関連グッズが多数生産された。グッズ生産に伴い、原材料の消費も増えたことで、原材料の販売や製造に関わる企業の利益も増加する。このグッズ販売(直接効果)による需要増加を満たすために生産が増加した分の原材料の売上が、一次波及効果だ。
直接効果と一次波及効果の影響でその産業や原材料生産に関わる企業、従業員の所得が増加し、消費が増加する。所得増加が促進する消費活動を二次波及効果と呼ぶ。
今回、最も経済効果の恩恵を受ける業界は「旅行・観光業界、上野界隈の飲食店やお土産屋」と宮本名誉教授は話す。サンケイスポーツの21年6月23日付けの記事によると、シンシンが双子を出産したタイミングで、ともに上野に店舗を構える中華レストラン「東天紅」「精養軒」といった「パンダ関連株」の株価が上昇したという。
最近はオンラインショップなどを構える企業が増えていることから、「上野に直接店舗がないとしても、文房具やカバンなどのパンダグッズをオンラインで販売する企業や店も少なからず経済的な影響を受けているだろう」と宮本名誉教授は分析する。
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