【独占取材】ソフトバンクビジョンファンドはなぜLegalForceに出資したのか(1/5 ページ)
ソフトバンクビジョンファンド(SVF)2の国内4社目となる出資先は、AIを用いた契約審査サービスを提供するLegalForceだ。なぜSVF2はLegalForceに出資したのか。SVF2の国内出資を担当するSoftBank Investment Advisersマネージングパートナーの松井健太郎氏と、LegalForceの角田望社長に聞いた。
ソフトバンクビジョンファンド(SVF)2の国内4社目となる出資先は、AIを用いた契約審査サービス「LegalForce」、契約管理システム「LegalForceキャビネ」を提供するLegalForce(東京都江東区)だ。同社は、SVF2をリード投資家として、シリーズDラウンドで総額約137億円の資金調達を行った(詳細記事)。
なぜSVF2はLegalForceに出資したのか。SVF2の国内出資を担当するSoftBank Investment Advisersマネージングパートナーの松井健太郎氏と、LegalForceの角田望社長に聞いた。
ソフトバンクビジョンファンド、国内4社目
――LegalForceへの出資は、ソフトバンクビジョンファンド(SVF)2にとって国内企業4社目にあたります。以前、「ニューリーダーを創出する大きな市場である」「革新的な技術や商品・サービスを創出する企業である」「野心的で明確なビジョンを持った起業家、経営陣である」「データとAIを有効活用して成長を加速できる企業である」「持続的な成長の可能性と収益性の道筋をきちんと守っている」という点を出資先選定基準として挙げていたかと思います。LegalForceのどの点を評価し、どんな期待を持っているのか教えて下さい。
松井 日本企業における法務人材は構造的な問題から不足しているといわれています。一方で企業を取り巻く事業環境は複雑化し、質量ともに企業の法務部門への負担は増しています。そういった中で、企業ソリューションのDX化は解決の1つのカギになります。LegalForceはAIと機械学習を駆使して、契約書のレビューや、契約書の管理を含む、企業法務のコア業務を支援するサービスを提供し、その業界におけるリーダーの地位を占めています。
あらゆる契約リスクを管理可能にしようという、ビジョンに深く共感して投資することにしました。
リーダーという観点でいうと(社長の)角田望さん、共同創業者の小笠原匡隆さんをはじめとする経営陣が非常に高い熱量を持っています。角田さんは見かけは紳士然としているが、ファイターなんですよ。話せば話すほど、こんなファイターはいないというくらい。プロダクトや技術を使って、業界のペインポイントを自分が解決していくんだ、というリーダーシップを持っている。これはすごい経営者だと。
オフィスを拝見すると、トップ層だけではなく次の下の層にもそれが伝わっている。顧客が2000社くらいいて業界トップにいながら、本当に元気があってアーリーのスタートアップのようなそんな会社。まだまだ伸びる。そう思っています。
関連記事
- AI契約書審査のLegalForce、ビジョンファンド、セコイアなどから137億円調達し米国展開へ
AI契約審査サービスを提供するLegalForceは6月23日、ソフトバンクビジョンファンド(SVF)2をリード投資家とし約137億円を調達したことを発表した。新たに海外事業に取り組み、まずは米国に進出する。 - AIで契約書チェックを行うLegalForceが「契約ライフサイクル」全体カバーを目指すワケ
法務担当者向けに契約実務のサポート機能をSaaSとして提供するLeagalForceは、新たに案件受付の機能を、秋から有料オプション機能として提供する。同社は、案件の受け付けから審査、締結、そして契約書の管理という「契約ライフサイクル」のすべてをサポートすることを目指しており、今回その最後のピースが埋まる。 - 「5兆円や6兆円で満足する男ではない」と孫社長 金の卵の製造業とは?
20年度に4.99兆円という国内最大の純利益を出したソフトバンクグループ(G)は、いまや創業時に目指した企業の姿に近づいたのかもしれない。この利益額は、日本企業として歴代最高だ。さらに世界に目を向けてもグーグル持ち株会社のアルファベットの2020年12月期の利益を上回るなど、GAFAに匹敵する規模となっている。 - 急成長スタートアップはどのSaaSを使っている?:LegalForce編
昨今、バックオフィスにおけるSaaSの導入が盛んだ。急成長スタートアップは、どんなバックオフィスSaaSを導入し、どう活用しているのか。第1回は、自身も法務向けSaaSを提供するLegalForceに聞いた。 - ウクライナ侵攻の有事! できる法務は何をチェックしているのか
昨今、ロシアのウクライナ侵攻により緊迫した状況が続いている。グローバル化が進む昨今、多くの企業が無関係ではいられない。対応に追われている現場も多いだろう。では、そんな中、法務担当は何をしなければいけないのか? - ソフトバンクG、上期純利益1兆8832億 AIへの投資強調
ソフトバンクグループ(G)が11月9日に発表した2020年4-9月期決算は、当期純利益が1兆8832億円となり、前年同期の4216億円から4.5倍に増加した。ビジョン・ファンドの投資事業が改善。前半期では215億円のマイナスとなっていた投資損益は、1兆3901億円へと回復した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.