【独占取材】ソフトバンクビジョンファンドはなぜLegalForceに出資したのか(2/5 ページ)
ソフトバンクビジョンファンド(SVF)2の国内4社目となる出資先は、AIを用いた契約審査サービスを提供するLegalForceだ。なぜSVF2はLegalForceに出資したのか。SVF2の国内出資を担当するSoftBank Investment Advisersマネージングパートナーの松井健太郎氏と、LegalForceの角田望社長に聞いた。
ソフトバンクGの孫正義社長との面談は?
――21年2月のシリーズCラウンドでの資金調達に続いて、今回の資金調達となりました。LegalForceにとって、これまでの資金調達との違い、また今回の資金調達がどんな意味合いを持つのか教えて下さい。
角田 今回の資金調達で新たに参画いただいた投資家の方は、グローバルで投資活動を展開されており、規模、社会的影響力という意味でも、これまでからさらにステージが上がったことを実感しています。国内の事業を展開していくだけでなく、これから世界を視野に入れていく中で、非常に強力な方々にパートナーになって頂くことができ、非常に心強く思っています。
これがラストラウンドになるかどうかは、今後の戦略に依存しますが、十分スケールアップしていくに足りる額を調達できたと考えています。
――SVFにおける出資では必ずソフトバンクグループの孫正義社長との面談があると聞きます。孫社長とお話をして、どんな感想をお持ちになりましたか。
角田 今回のシリーズDの資金調達は、昨年の夏秋くらいから徐々に始めていまして、1年近く掛かったことになります。その中で、孫社長とは冬頃にお会いさせていただきました。
なかなか言葉で表現するのは難しいのですが、スケールの大きさを感じました。面談のときはすごく優しかったんですが、奥行きが広い。想像以上に私たちの事業内容を見ていて、自分たちが考えていなかったような視点から、このプロダクトはこういう機能を入れて、営業戦略ではこういうふうにスケールさせていくといい、競合がこういう動きをしたときは、こうするのがいいかもしれないと、プロダクトの戦略に立ち入ったところまでディスカッションさせて頂きました。
僕らの中でも、最大限ストレッチした場合にどうなるかを常に考えながら事業計画を引いて、それを投資家にもぶつけているつもりなのですが、新たに気づく部分が多くありました。
松井 孫はすべての投資案件について面談をします。ファンドの中枢人物の一人として、また同じアントレプレナーとして、投資先の経営者と顔を合わせておきたいという強い思いがあります。
LegalForcceの角田社長と孫が話をしていて、同じ日本の会社、若い将来のスターをなんとか育てたい、サポートしたいという気持ちがプラスアルファで出た感じがしました。この会社をどうすればスケールするのか、同じ起業家として、この会社をサポートしたいという思いが溢れ出ていました。
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