【独占取材】ソフトバンクビジョンファンドはなぜLegalForceに出資したのか(3/5 ページ)
ソフトバンクビジョンファンド(SVF)2の国内4社目となる出資先は、AIを用いた契約審査サービスを提供するLegalForceだ。なぜSVF2はLegalForceに出資したのか。SVF2の国内出資を担当するSoftBank Investment Advisersマネージングパートナーの松井健太郎氏と、LegalForceの角田望社長に聞いた。
ソフトバンクビジョンファンドの出資方針
――改めてSVF2の出資方針について教えて下さい。松井さんは元々中国市場を担当されていました。中国企業への投資を抑制するという話も決算説明会ではありましたが、政府の規制リスクも高まる中、どんな点に注意しながら、どのような方針で投資選定を行っていますか。
松井 やはり先日の決算発表で孫が申したとおり、マクロ経済の不安定要因が乱立している状態にあって、不安要因は増えはしても減っていない。こうした環境下で、これまでと同じペースで投資するのは常識的にはあり得ない。これはソフトバンクビジョンファンドだけではなく、世界中どこでもそうです。
中国には規制リスクもあるが、それだけではなく日本だって欧州だって米国だって、ファンド全体として慎重姿勢を取らざるを得ない。そういいながらも10年、20年、30年、孫の言葉では300年、この業界にコミットしていくわけです。そのため厳しい環境下でも、新しい芽を出そうとしているファウンダーの方々、新しいテクノロジーをきちんと見極めながら、将来のニーズに通じるテクノロジー、ビジョン、事業を起こしている人を見出して、正しく評価して、しかるべきタイミングでサポートしていきたいと考えています。
ソフトバンクビジョンファンドでも投資自体の数は減りますが、引き続き全世界のマネージングパートナーはオポチュニティ(投資機会)を探しています。
――SVF2にとって、出資先として国内企業はどんな位置付けなのでしょうか。投資先として絶対的な魅力度が増してきたのでしょうか。それとも中国企業などに比べて相対的に魅力的になってきたのでしょうか。どんな点について、国内企業を評価していますか。
松井 ソフトバンクビジョンファンド2の戦略自体がソフトバンクビジョンファンド1と比べて分散化しています。地域の分散だったり、セクターの分散だったり、チケットサイズの柔軟性もあると思う。すると日本のスタートアップには1億ドル以上のチケットサイズを満たす企業が少なかったため、ビジョンファンド1では投資できなかったが、ビジョンファンド2では違ってくるわけです。
本腰をいれて開拓しようと意思決定したのは21年の秋からです。明確に、孫から「健太郎これを見ろ」と言われました。日本は世界第3位の経済規模があるし、IT化比率で見ても遅れています。これまで4社に投資してきましたが、同じような会社がどんどん出てくるはずです。
加えて、日本では科学技術や知財があってもそれを商業化できずにいることがたくさんあります。それを日本の市場で、またはグローバルなマーケットで昇華できる、そういったファウンダーや経営陣が出てくれば、もっともっとユニコーンが日本から出てもおかしくない。われわれの投資パイプラインの中でも、この技術はすごい、これは世界にはないぞ、という会社はいくつかあって、問題は、これをいかに商業化するか、そこなのかと。面白い会社は日本にはいっぱいあると思っています。
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