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「家電量販市場」、猛暑のエアコン商戦でも回復が厳しいワケ:知らないと損?業界最前線(2/5 ページ)
家電量販各社の2022年3月期決算が、軒並み前年比でマイナスだ。さらに今年は、上海のロックダウンや半導体不足などの影響が国内家電市場にも及び、夏商戦には不安がつきまとう。一方、ほぼ全国が例年よりも早く梅雨明けしており、早々にエアコン商戦がスタート。巻き返しを図ることはできるのか。
品不足が影を落とす前半戦
2022年3月期の家電量販各社の決算は、売上高が前年比約6〜9%減、経常利益は同約20〜40%減と、大きく後退した。しかしこれは想定内のことで、各社の経営に大きな影響は与えていない。
業界ナンバーワンの「ヤマダ電機」を有するヤマダホールディングスの決算。売上高は前年比92.4%、経常利益は前年比75%となっている。他の家電量販各社も軒並み、売り上げと経常利益がマイナスとなっている(出典:ヤマダホールディングス、2022年3月期 通期 決算説明会資料)
というのも、前年が良すぎたのである。コロナ禍が始まった20年、1人当たり10万円が支払われた「特別定額給付金」によって、同年6月から家電の売り上げが急激に上がった。
給付金支給前からも、在宅ワークを余儀なくされた人々が食生活を充実させようとキッチン家電を買い求める動きがあったが、給付金によって拍車がかかり、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの高額な大型家電も飛ぶように売れた。
また、在宅ワークの必需品としてパソコンやモニター、プリンター、Webカメラ、Wi-FiルータなどのIT機器も、一時は在庫が空になるほどの売れ行きを見せた。20年は家電量販業界にとってコロナバブルが到来した年だったのである。
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