KDDIの通信障害、政府は「叱る」前に何をすべきか:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
最大3915万回線に影響を及ぼしたKDDIの大規模通信障害。KDDIの高橋誠社長が行った会見など対応が話題となったが、筆者は「少しやり過ぎではないか」と感じた。その理由は――。
「少しやり過ぎだった」と感じるKDDIの会見
今回の顛末(てんまつ)について、KDDIの幹部らの対応が注目された。特に話題になったのは、3日午前に行った記者会見である。オンライン記事によると、KDDIの高橋誠社長が会見で事情を滞りなく説明する様子に「auの信頼度爆上がり」という声が多数あったという。
筆者はこの会見を見て、少しやり過ぎではないかと感じた。まだ収束していない時点で、細かいところまで話を明らかにし過ぎではないかと。
本サイトでは、ノンフィクションライターで報道対策アドバイザーなどとしても活動している窪田順生氏の「『KDDIの会見、やらなくてよかったんじゃね』問題 どう考えるべきか」という記事が掲載されている。少し引用したい。
『このように世間の「ムード」は、ちょっとしたことでガラリと変わる。だからこそ、企業危機管理というのは、「ムード」を味方につけることが大事になる。そこで最も有効なのが、実は企業トップによる会見なのだ。
正確な情報を迅速に伝える会見はもちろん大切だが、その前に社会に「信用できそう」「安心した」という心証を与えなくてはいけない。それは実は危機発生時、社長がやるべきもっとも大切な仕事のひとつなのだ』
これには筆者も賛成する。記者会見の中で、高橋社長もこう語っている。
「安易な表現で公表すると、かえって混乱を招く可能性があると考え、できるだけ慎重に広報活動をしてました」としながらも、「総務省から『もう少しお客さま目線で広報すべき』といったお叱りも受けました」と明らかにしている。そのお叱りを踏まえて、会見も開かなければならないと判断したという。
つまりは、政府などから、ユーザーらの「ムード」を踏まえ、不安を取り除くために会見をすべきだと促されたということである。KDDIは慎重にやる方針だったが、総務省から会見をするよう指示されたということだろう。
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