KDDIの通信障害、政府は「叱る」前に何をすべきか:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
最大3915万回線に影響を及ぼしたKDDIの大規模通信障害。KDDIの高橋誠社長が行った会見など対応が話題となったが、筆者は「少しやり過ぎではないか」と感じた。その理由は――。
総務省幹部「うまく乗り切った」と評価
会見後、総務省関係者に取材すると、同省幹部らはKDDIによる最初の会見を「うまく乗り切った」と評価しているようだ。ただ、所管省庁である総務省、つまり政府側が、企業側に責任をすべて押し付けているようにも感じる。
しかも金子総務大臣が会見を開き、「極めて多くの方々が長時間利用困難になっていることは大変遺憾であり、事態を深刻に受け止めている。電気通信事業法上の重大な事故に該当すると認識している。関係法令に基づきしかるべき対応を行う」と、企業が必死に対応している真っ只中に、プレッシャーをかけるのもどうなのか。
通信分野は、日本政府が重要視しているインフラ分野の1つだ。だからこそ、国民やインフラを守る側として、総務省も一緒になって対応している姿勢を全面に示したほうが、国民の不安もさらに和らぐのではないか。どんな対処ができるのかについても、今後総務省が中心となって広報していくことが必要だろう。
通信に障害が出ると、auのユーザーはフリーWi-Fiスポットが身近にないためにアクセスできない状況になったり、フリーWi-Fiサービスを使うのにも、電話回線が必要なSMS(ショートメッセージ)を受け取る必要があったり、さまざまな混乱が広がった。
法人契約している組織や、コネクテッドカーなどIoTのサービスが受けられない人たちも出た。そういう国民生活を脅かす「重大な事故」が起きたときに、政府は何をしてくれるのか。メンテナンスで想定外の問題を引き起こした業者を追い詰めるのは、復旧してからでもいいはずだ。
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