紙の回数券はネット予約でどう変わったのか 鉄道会社の狙い:新幹線の回数券は高かった(1/4 ページ)
回数券に代わるサービスとして、ネット予約やチケットレスサービスが普及している。さらにポイントサービスなどを組み合わせることで、コロナ禍での利用者減を克服するサービスを提供できるのではないだろうか。
鉄道利用者には、同じ区間を頻繁に利用する人がいる。最たるものが通勤通学の利用者だ。そうした利用者に向けて、定期券が発売されている。リピーター向けのサービスとしては、最も分かりやすいものだろう。
一方、長距離列車の利用者にもリピーターがいる。新幹線や特急で、週に1〜2回、同じ区間を行き来する利用者だ。最近は原則テレワーク、用事のあるときだけ出勤という体制を取っている企業も多い。例えば、会議や紙の書類の取り扱いなどで、会社に行かなくてはならない場合である。
ヤフーやNTTグループなど、企業によってはどこに住んでも問題ない、交通費は負担するというところもある。普段はふるさとで暮らして、用事のある時だけ会社に出るという社員がいてもおかしくはない。
そういった場合、新幹線や特急の同じ区間を何度も利用する、ということになる。
回数券は消えていった上、意外な欠点もあった
同じ区間を何度も利用するといえば、回数券の購入を考える人も多いだろう。しかし、新幹線や特急の回数券は、多くがネット予約に代わってしまった。
回数券は安くて便利だった、という声も多い。しかしその声を発する人の中には、駅の近くにある格安チケットショップで回数券のばら売りを買い、安く済ませていた人もいるのではないだろうか。
そのような人たちが使用する回数券には、「C制」「東C」などと券面に記されていたのかもしれない。「C」は「Credit Card」を意味する。チケット業者がまとめてクレジットカードで買い、ばら売りしていたのである。現金化業者が利用者に買わせていた可能性もある。
本来想定されていた「何度も行き来する人が回数券を使用する」ことは、むしろ少なかったのではないか。回数券は先払いであるため、高くて買いにくいという問題がある。
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