紙の回数券はネット予約でどう変わったのか 鉄道会社の狙い:新幹線の回数券は高かった(4/4 ページ)
回数券に代わるサービスとして、ネット予約やチケットレスサービスが普及している。さらにポイントサービスなどを組み合わせることで、コロナ禍での利用者減を克服するサービスを提供できるのではないだろうか。
「JRE POINT」を利用したリピーター戦略
JR東日本は、短距離の高頻度利用者に対してもリピーター戦略を提供している。従来の回数券が9月末をもって終了することになったものの、すでにSuicaを利用したリピーター向けサービスを提供している。
テレワークでも、ときどきは出社しなくてはいけない人も多いだろう。そうした人向けに、「リピートポイントサービス」を提供している。同一運賃区間の利用が同じ月に10回で、運賃1回分の「JRE POINT」を還元している。月11回以上の利用で、1回ごとに運賃の10%が還元される。また、在来線の乗車でもポイントが貯まる。
在来線特急でも、「えきねっとチケットレスサービス」では紙のきっぷより割安になり、Suicaの利用と組み合わせられる。在来線特急の高頻度利用者には、このサービスは便利だ。
JRの特急や新幹線は、ネット予約を活用することで、利用者に前払いの負担がなくてお得なサービスをリピーターに提供でき、しかも回数券にあるような時期の制限などをなくすことができた。
リピーターのロイヤルティを高めることで、鉄道事業の安定収入に貢献する。チケットレスとポイントサービスなどを組み合わせることで、コロナ禍でも利用者減少を克服するようなサービスを提供できている。
紙のきっぷ時代にはできなかったことが、テクノロジーの発展で可能になったことがいくつかある。利用者への負担を減らして利便性を向上させることができれば、今後も戦略的にロイヤルティを高めることができるだろう。
関連記事
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。 - 新幹線だけじゃない! JR東海の「在来線」はどうなってるのか
JR東海といえば「東海道新幹線を運行する会社」「リニア中央新幹線を建設する会社」というイメージが強い。報道も新幹線絡みが多い。しかしほかのJR旅客会社と同様に在来線も運行している。そして「新幹線ばかり優遇して、在来線の取り組みは弱い」という声もある。本当だろうか。 - 不人気部屋が人気部屋に! なぜ「トレインビュー」は広がったのか
鉄道ファンにとって最高の「借景」が楽しめるトレインビュールーム。名が付く前は、線路からの騒音などで不人気とされ、積極的に案内されない部屋だった。しかし鉄道ファンには滞在型リゾートとなり得る。トレインシミュレーターや鉄道ジオラマなど、ファンにうれしい設備をセットにした宿泊プランも出てきた。 - 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。 - 中央快速線E233系にトイレ設置、なんのために?
JR東日本の中央線快速で、トイレの使用が可能になることをご存じだろうか。「通勤電車にトイレ?」と思われた人もいるかもしれないが、なぜトイレを導入するのか。その背景に迫る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.