紙の回数券はネット予約でどう変わったのか 鉄道会社の狙い:新幹線の回数券は高かった(3/4 ページ)
回数券に代わるサービスとして、ネット予約やチケットレスサービスが普及している。さらにポイントサービスなどを組み合わせることで、コロナ禍での利用者減を克服するサービスを提供できるのではないだろうか。
ネット予約がリピーター向けサービスを向上させた
いま、最も利用されている新幹線のネット予約&チケットレスサービスは、東海道、山陽、九州新幹線の「エクスプレス予約」である。年会費1100円こそかかるものの、回数券が使えなかった年末年始などにも割安な値段で乗車でき、チケットレスで利用でき、回数券のばら売りよりも安く乗車できることが多い。しかも年会費は、東京から新大阪まで往復利用すれば元が取れてしまう程度の額である。
いつも利用する列車が決まっていれば、「EX早得」(3日前まで)や「EX早得21ワイド」(21日前まで)で安く利用できる。
ちなみに、東京〜新大阪間で紙のきっぷなら1万4400円、「EX予約」は1万3620円、「EX早得21ワイド」は1万2370円となっている。
「エクスプレス予約」にせよ「スマートEX」にせよ、登録が必要なサービスであり、何度も利用する人だからこそ得になるようにできている。また、「エクスプレス予約」のポイントの貯め方次第(JR東海、JR西日本、JR九州のクレジットカードを使用する)では、グリーン車に普通車指定席の料金で乗ることも可能だ。
ネット予約の仕組みを整えることで、東海道、山陽、九州新幹線はリピーターに1回の乗車の負担でそれなりのお得感を示せるようになっている。何度も利用する人は、ネット予約とチケットレスサービスを利用するようになり、リピーターへのサービスを向上させてロイヤルティを高めることができる。同時に、紙のきっぷだと改札機に負担がかかるので、メンテナンス費用も削減できるメリットが鉄道会社側にもある。
最初に結構な額を払わなくても、リピーターにはお得さを提供できることが、ネット予約とチケットレスサービスで可能になったのだ。
東北・北陸新幹線などでも「えきねっと」の「新幹線eチケットサービス」があり、紙のきっぷよりも安く、「えきねっとトクだ値」も使用でき、「JRE POINT」も貯まりやすい。こういったサービスはリピーターだからこそ便利に使えるのだ。
ネット予約とポイントサービスで、利用者を回数券の前払いのような負担なしに囲い込めるという戦略を実現している。さらには「JRE POINT」への囲い込みで、ポイントの経済圏に利用者を参入させるモチベーションをかき立てさせる。ネット予約とポイントサービスで、利用者を負担なく囲い込むという戦略を実現している。
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