銀行は斜陽産業? 千葉銀行の業績を左右するポイント:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/9 ページ)
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。「決算書で分かる日本経済」ということで、地方銀行の決算を取り上げていきます。今回取り上げるのは千葉銀行です。
貸し出しが大きく伸びた理由
貸出金に関しても4.3%増の1兆1691億円となっていて金額ベースで考えると伸びています。
ちなみに貸出金全体のうち46.2%が中小企業向け、34.1%が住宅ローンとなっていて、この2つで計80%と大半を占めていています。
中小企業向けの融資に関しては4.7%増となっていて特に大きく伸びていますね。
そして中小企業融資に関しては、保証協会付の融資(貸倒時に保証協会の保証がある融資)が大きく伸びています。コロナ以前は3700億円ほどだったのが、6000億円前後まで増加しています。
というのも、コロナ支援として行政からの後押しで、無担保で保証協会付き、利子補給型(借り入れの利息が後ほど県から補填される融資)のいわゆるゼロゼロ融資(担保ゼロ・利息ゼロ)が多く行われていました。
保証協会が付いていて、利子補給型ということは、銀行側からすると取りっぱぐれのない融資になります。
新型コロナで業績に悪影響が出た企業は多いわけですが、そういったところでは借り入れを必要としているものの信用不安があり、借り入れ自体が難しいわけです。
しかし無担保で保証協会が付いている融資が受けられるため、銀行もノーリスクで貸し出せますから、業績悪化で借り入れを必要とする企業が増えたというのは銀行にとっては単純にプラスに働いているということです。
また、これまでは資金的に余力があって借り入れの必要が無い財務的に余力の大きい企業でも、利子補給で実質無利息だからと借り入れをする企業があります。
つまり利子補給や保証協会付きの融資は中小企業支援でもある一方で、銀行側へも非常に大きな支援となっているということです。
そういった点から考えても、コロナは銀行業績にとっては追い風だったのでしょう。
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