“絶滅危惧種”と呼ばれた「ドムドムバーガー」は、なぜ蘇ったのか:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
日本最古のハンバーガーチェーン「ドムドムバーガー」が不死鳥のように蘇っている。閉店に次ぐ閉店で、「絶滅危惧種」呼ばれていたのに、なぜ店舗数を増やすことができているのか。
守ったまま潰れていく
こういう老舗倒産のニュースを聞くと、「コロナが悪い」「新自由主義が悪い」「後継者不足が悪い」「消費しない若者が悪い」という感じで、とにかく「外的要因」が問題であって、老舗企業側はなんの落ち度もない「被害者」という感じで語られることが多い。
もちろん、広い世の中なのでそういう悲劇もある。しかし、倒産する老舗企業の直近のビジネスを見てみるとそういうケースではない倒産のほうが圧倒的に多い。
『老舗が続々廃業! 「和菓子店の危機」がここにきて深刻なワケ』の中でも詳しく述べさせていただいが、倒産する老舗企業の多くは、時代の流れに合わせてビジネスモデルを変えることができなかったパターンが多いのだ。(関連記事)
言い換えれば、「これまでのやり方を守ったまま潰れていくパターン」である。
老舗というのは歴史が長くなればなるほど、昔からの常連客、昔からの取引先、昔からのビジネスモデルへの「執着」を強めてしまう傾向がある。しかし、日本は急速に人口減少しているので、年を追うごとに常連客も取引先も減っていく。市場環境も大きく変わっているので、50年前に生まれたビジネスモデルもどんどん通用しなくなってしまう。つまり、「過去」への強すぎる執着が、老舗を自滅に追い込んでいるのだ。
そうならないための秘けつが実はドムドムバーガーにある。なぜかというと、V字回復をする前まで、このチェーンも「過去」への執着がやめられない、典型的な「老舗企業」だったからだ。
18年から社長となって黒字化に成功した藤崎忍社長は、本格的に再生を手がけるまでのドムドムについてこう述べている。
『ドムドムの店舗はほとんど街のスーパーの中に入っていて、売り上げ規模も小さく、常連の限られたお客さんに守っていただいている状態でした』(ダイヤモンドオンライン)
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