“絶滅危惧種”と呼ばれた「ドムドムバーガー」は、なぜ蘇ったのか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
日本最古のハンバーガーチェーン「ドムドムバーガー」が不死鳥のように蘇っている。閉店に次ぐ閉店で、「絶滅危惧種」呼ばれていたのに、なぜ店舗数を増やすことができているのか。
再生できた最大の理由
このあたりは、「街の老舗和菓子屋さん」や「街の老舗喫茶店」などと地域密着型老舗企業が直面する負のスパイラルとまったく同じである。
年配の常連客が足繁く通ってくれることで商売が成立するので、とにかく常連客を大事にする。もちろん、それは素晴らしいことなのだが、常連客が好むのは「これまで通りの商品」「これまで通りのサービス」なので、新しいチャレンジをしなくなって結果、新しい客が入ってこないのだ。
一方、常連客も高齢化でどんどん少なくなっていくので、じわじわと売り上げは落ちていく。しかし、苦しくなればなるほど「まだ残っている常連客を大切にしなくては」と新しいことができなくなってしまう。そんな消耗戦を続けていくうちに、コロナ禍や後継者が背中を押して、廃業・閉店を決断するというパターンが非常に多いのである。
ドムドムバーガーが再生できた最大の理由は、この負のスパイラルを「老舗ならではの現状維持圧力」に屈することなく、藤崎社長が見事に断ち切ったことが大きい。例えば、ドムドム復活の原動力になった「丸ごと!!カニバーガー」は、藤崎社長が押し切らなければ世に出ることはなかった。
『商品開発部が持ってきたのですが、取締役会では「それはないだろう」と反対意見が多かったのです。でも実際に食べて見たら美味しかったのでやってみようと思いました』(ニッポン放送NEWS ONLINE 22年1月24日)
新客獲得のマーケティングも兼ねて、ドムドムを人気声優イベントに参加させることを藤崎社長が検討したときも『看板や出店料などの初期投資が大きいし、準備したハンバーガーが売れる確証もなかったので、役員会では反対意見ばかり』(前出・ダイヤモンドオンライン)だったという。
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