カメラ市場は縮小しているのに、なぜソニーの「VLOGCAM」は人気なのか:過去最高の予約(2/5 ページ)
カメラ市場が縮小している中で、ソニーの「レンズ交換式VLOGCAM ZV-E10」が注目を集めている。同社のミラーレス一眼カメラ史上、過去最高の予約数(発売当時)をたたき出しているが、なぜ人気を集めているのか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
スマホにはない動画向け機能が満載
ソニーでは、20年6月に初のVLOGCAMシリーズとして、「VLOGCAM デジタルカメラ ZV-1」(9万9901円)を発売。同製品が好調だったことを受け、21年9月に「レンズ交換式VLOGCAM ZV-E10」を発売した。
同シリーズは、動画撮影に特化したまったく新しい「VLOGCAM 」というカメラジャンルにすみ分けられる。コンパクトデジタルカメラや一眼カメラの機能は持ちながらも、既存ジャンルとはカテゴリーを分けている。
ZV-1はレンズ一体型の軽量タイプで、コンパクトデジタルカメラに属する。持ち運びやすく機動力があるのがメリットだ。一方、ZV-E10はレンズ交換式でミラーレス一眼に属する。ZV-1より多彩な表現が可能になる。
VLOGCAMシリーズは、スマホにはあまり見られない動画撮影で使える機能が満載だ。例えば、背景を適度にボカして主役を引き立てる背景ぼけ、肌を美しく見せる美肌モード、シネマティックな雰囲気を出せるスロー&クイックモーションなど。
独自性が高い機能として、商品レビュー用設定もある。これは、商品を自分の顔より前面に写したときに、人の顔ではなく商品にピントが合う機能だ。
「スマホや従来のカメラで動画撮影をすると、商品を前に出しても人の瞳にピントがあたってしまいます。そのため、自分の顔を手で隠しながら商品レビューをする人が多くいます。VLOGCAMシリーズは、商品レビュー用設定をオンにするだけで、自動でピント調整が可能です」(丸山氏)
搭載しているセンサーサイズが大きく、そもそも高画質であることもスマホとの差異だという。
「一般的なスマホは1/3型や1/2.3型のセンサーが主流なのですが、ZV-1はスマホの約4倍の面積となる1インチサイズ、ZV-E10はスマホの約13倍となるAPS-Cサイズを搭載しています。センサーサイズが大きくなるほど、多くの光を取り込んで画質がよくなります。夜間や室内などの暗い場所でも明るく撮影できる、ぼけ量が増えるといった変化があります」(丸山氏)
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