黒字でも希望退職を募る企業のホンネ──5年後に迫る「深刻な問題」とは:改正高齢法の実情(4/4 ページ)
コロナ禍で希望退職者を募る企業が相次いだ。黒字でも希望退職を募る企業が少なくないのは、なぜなのか? 5年後に迫る「深刻な問題」とは──。
給与が半減!? 緊張感を持たせる事例
最近では50代以降の社員に緊張感を持って仕事をしてもらう施策を講じる企業も増えている。例えば、56〜60歳の5年間の人事評価で給与などの処遇を決め、上位ランクに位置付けられた人は60歳時点の給与を再雇用後も保障し、下のランクに位置付けられた社員は給与が半減する制度にした企業もある。
ある情報機器メーカーでは、50代以降の社員と毎年面談し、仕事への奮起を促すとともに、60歳以降の再雇用については今までの仕事で得意とするスキルや分野を自ら提示し、その仕事に見合った賃金を支払う仕組みを検討している。
同社の人事部長は「自分がやりたい仕事など得意分野で働いてもらう。スキルによって時給1500円、2000円、3000円と格付けする。ただし、スキルが生かせる部署があるとは限らないし、中には『あの人はちょっと勘弁してよ』と言う部署もある。うまくマッチングできなければ安い時給で働くことになる。60歳までのスキルや職場での信頼を勝ち得ているかが大きく問われることになる」と指摘する。
60〜70歳までの10年間を会社の戦力として活躍してもらい、本人自身の職業人生を充実したものにするためには、60歳からの学び直しやリスキリングでは遅い。
遅くとも50代からの自発的なキャリア形成を本人に促し、会社も支援していく必要がある。また、そうしなければたとえ会社に残ったとしても50代の社員にはさらに厳しい試練が待ち受けている。
次回は、60歳以降の高齢社員が生き生きと働き、戦力化に取り組んでいる企業の人材活用の仕組みについて紹介したい。
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