「お先に失礼します」が言いにくい職場 残業がなくなる方法は?:蔓延る“義務的チームワーク”(4/4 ページ)
「何かと“チームワーク”といわれるので帰りづらいです」――こう話すのは、あるベンチャー企業に勤める松本さん(仮名、23歳男性)。松本さんの会社の社長は何かにつけてチームワークを重視しており、職場の雰囲気として“帰りづらい”が蔓延しているそうです。
職場を変えるには?
(1)経営者が変える場合
経営者自身がこのような現状を変えようと思えば、いくらでも方法はあります。一番簡単なこととしては、管理職に本来の仕事をしてもらうことです。業務の把握や労働時間の把握をし、必要に応じて「お手伝い」の指示をすればよいのです。
残業させるということはそれだけコストが発生するし、残業時間の上限規制への影響もあります。従って、優秀な管理職であれば生産性が下がるような無駄な残業はさせないでしょう。その他、フレックスタイム制を導入すれば、出勤時刻もバラバラなので「あいつだけ先に帰った」とは言いにくくなります。また、リモートワークであればこのような事象はそもそも発生しません。
さらに根本的に解決しようと思えば、できるのであれば思い切ってジョブ型にしてしまうことです。このような職場環境は、日本企業がメンバーシップ型を採用していることに大きな要因があります。人材育成や効率的な人員配置、職場の士気を上げるといった効果は高いのですが、半面、行き過ぎると前述のような結果を招いてしまうからです。ただし、ジョブ型にするにはこれだけに限らず給与や昇格、採用など多方面にわたり見直さなければなりませんので決して容易ではありません。
(2)松本さんの場合
「気にせず帰っちゃえばいいじゃん」「自分の仕事が終わっていれば問題ない」このようにアドバイスをされる方もいると思います。ただ、松本さんの会社の社風で、さらに社員数がさほど多くない状況でこれをやってしまうと間違いなく居心地は悪くなるでしょう。
そうは出来ないことを前提に考えると、一人の労働者という立場で職場環境を変えるのは非常に困難でしょう。社長にストレートに言ったところで「うちがそういう社風なのは分かって入社したんだろ」といわれる可能性が高いからです。
可能性があるとすれば、ストレートに「帰りにくい雰囲気を変えてほしい」というのではなく、「自分自身の生産性を高めたい」「生産性の低くなる業務を減らしていきたい」のような感じで話してみてはどうでしょうか。無駄なコストを良しとする経営者はいません。2割5分増しの残業をしてまでやるべき業務とそうでない業務が混在していることを認識すれば残業そのものを見直すのではないでしょうか。そこから先は(1)の話なので経営者自身がどう考えるかです。
その上で何も変わらず、その状況に我慢できなければ転職したほうが良いかもしれません。次はそのあたりを気にしながらミスマッチのない転職をしましょう。
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