賢い経営者は、「DX」という言葉に躍らされてはいない:想像通りの結果に(2/4 ページ)
この5月、中小企業基盤整備機構から「中小企業のDX 推進に関する調査」が公表された。もはや食傷ぎみの「DX」だが、まさか中小企業の賢い経営者がDXというバズワードに踊らされていることはないと思っていなかったが、やはり想像通りの結果となった。
しかし、「どんな価値を創出するか」と「AIで何かできないか」は何か違うのだろうか?
しかも、そのあとには、「DXを実現するための経営としての仕組みの構築が伴っていない」と、すでにDXは目標化してしまっている。最後に至っては、完全に「DX」が目的だ。
そこで、今回の「中小企業のDX 推進に関する調査」だ。
この調査結果での前振りが、これまたすごい。
2018 年に経済産業省が『DXレポート』を公表し、(中略)社会のデジタル化に対応していくことの必要性が提唱された。これを受け、生産性の向上や業務効率化、働き方改革への取組みなどDXを推進しようとする動きが 活発になっている 。
一方、このような状況下にあって 、取組みが 遅れていると言われる中小企業におけるDXに対する理解度、現在の取組状況、期待する成果、新型コロナウイルス感染状況下おける進捗状況などを把握するとともに、DXの取組み実現に向けた課題や期待する支援策などについて調査を行うことで、各支援機関 が中小企業者等に対し今後DXを進めていくための対応方針や支援策を検討するうえで、その基となるデータを提供することを目的とする。
どうやら、中小企業ではDXへの取組みが遅れているらしく、この結果をもとにして、今後さらに中小企業への対応策、支援策を検討するらしい。
調査結果の一部を紹介すると、DXに取り組んでいる中小企業は、7.9%しかいないという。それはそうだろう。DXが「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」だとすれば、7.9%いるならば上出来だ。大企業を見渡してもこの状況が実現している企業など何社あるのだろう。
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