オリオンビール、発売1年未満で缶チューハイをリブランド リピート率が高かったのに、なぜ?:地域経済の底力(2/4 ページ)
オリオンビールのnatura WATTAは、沖縄県産の果実で、かつ防腐剤およびワックス不使用のものだけを原材料として活用。消費者のウケは悪くなかったものの、ビジネス上の課題もあってなかなか売り上げ拡大につながらなかった。そうした反省を踏まえて、発売から1年もたたない今年7月に商品のリブランドに踏み切ったのである。その背景を取材した。
他社を凌駕するリピート率
オリオンビールのRTDにおいて、現在7割以上の売り上げとなるのがWATTAシリーズだ。レギュラー商品を含めて年間9種類ほどのフレーバーを販売する。最も出荷量が多いのは「リラックスシークヮーサー」。また、数量限定ではあったが、ファストフードレストラン「エーアンドダブリュ(A&W)」や、アイス専門店「ブルーシール」といった沖縄企業とのコラボレーション商品がヒットした。「買いたいという問い合わせが今でもよく来る」と同社の広報担当者は話す。
WATTAの成功を引っ提げて21年6月にリリースしたnatura WATTAは、価格は高めだが、リピート率の高さは抜きん出ていた。同社が21年12月に沖縄県内のアルコールユーザーを対象にした調査では、natura WATTAを月2回以上購入するとした回答者は76.2%と、競合他社の商品と比べて10ポイントほど上回っていた。
「値段は他のチューハイと比べて高い部類には入りますが、商品に対する満足は大きく、それがリピートにつながっています」と、マーケティング本部 オリオン・ブランドマネジメント課の新垣壱馬氏は力を込める。購入理由については、多くの消費者が素材にこだわっている点を一番に挙げている。
「県内で原材料を調達している関係上、たくさんの果汁量を確保することは難しく、その点では他社にかないません。ですから、私たちは量よりも素材の質を重視していることを丁寧に伝えていきました」と浜比嘉氏は言う。
第2弾となった「かーぶちー」は象徴的だ。沖縄在来種のミカンで、主に国頭村の奥地域で栽培されているが、沖縄県民でも知らない人がいるという。そうした素材をメインで使うことで、natura WATTAは他にはないオンリーワンの商品となった。
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