ゲームは「無料」から「稼ぐ」時代へ Play to Earnゲーム台頭の裏側(後編)(3/5 ページ)
日本を代表するゲーム会社がこぞって、Play to Earnゲームに注目している。Play to Earnゲームとは、プレイすることで稼げるゲームのことだ。Play to Earnゲーム台頭の背景は、立脚するブロックチェーンまわりの動向も複合的に絡むものである。Play to Earnゲームの実例に触れながらその背景を探ってみたい。
Play to Earnゲーム台頭の背景(3) より多くの人にプレイされる:スカラーシップ制度
最後にスカラーシップ制度を取り上げたい。スカラーシップ制度とは、Play to Earnゲームにおいて、NFT化したゲームキャラクターや武器や防具などを持つ保有者(マネージャー)が、プレイヤー(スカラー)にNFTを貸し出す仕組みのことである。この仕組みによってゲームプレイから発生した利益を両者間でシェアすることができる。昨年アクシー・インフィニティで利用されてから、Play to Earnゲームが爆発的に広まるきっかけとなった。
スカラーシップ制度自体は、イールド・ギルド・ゲームス(Yield Guild Games)というフィリピン発のスタートアップのようなゲームギルドが主に提供している。イールド・ギルド・ゲームスが提供するスカラーシップ制度は、コロナ後に仕事を失ってしまったフィリピンにおいて、Play to Earnゲームを流行させる起爆剤となった。
アクシー・インフィニティなどのPlay to Earnゲームは、ゲーム開始時に高額なNFTを購入しなければプレイすることができない。アクシー・インフィニティではゲーム開始時に3体のアクシーNFTが必要であり、当時でも総額600〜1000米ドルは必要だが、フィリピンの平均月収はおおよそ300米ドルであり、とてもではないが自らNFTを購入することは非現実的であった(Outsource Accelerator参照)。
一方で当時のゲームプレイで稼げる金額はフィリピン人の通常の月収よりも格段に高く、仕事に就くよりもゲームをしていた方が稼げるという現象が如実に見られた。NFTを購入できる先進国のマネージャーが、ゲームプレイを希望するフィリピンやベネズエラといった途上国のスカラーにNFTを貸し出すという経済圏が構築されたことで、グローバルにPlay to Earnゲームが広まることになった。
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