経産省のCEV補助金、10月末で終了へ EV好調で予算枯渇、販売台数に影響か
自動車各社が新型BEVを発表する中、個人や法人の購入費用の一部を補助する、経済産業省の事業予算が年度末を待たずして枯渇し、事業が早期終了する可能性が出てきた。補助金ありきで販売台数を伸ばしていた車種もあり、販売に影響が出る可能性がある。
自動車業界にとって、2022年は「EV元年」と呼ばれている。実際、日産「アリア」が販売好調により米国での新規予約が停止になった他、日産・三菱が発表した軽EV「SAKURA」(サクラ)が発表から3週間で1万1000台の受注を記録。負けじと、トヨタも、スバルと共同開発した「bZ4X」をサブスク「KINTO」限定で発表するなど、業界内では各社の新型BEV(バッテリーEV)の発表が相次いでいる。7月には中国のEV大手BYDが日本への本格上陸を発表し、国外メーカーの動向も興味深い。
予算残高177億円 「予算額に達した日の前日をもって申請受付終了」
そうした中、気になる発表があった。経済産業省がこのほど、BEVなどの購入費用の一部を補助する「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(CEV補助金)の予算額が減少しているとして、同補助金を10月末で終了する見通しを発表したのだ。
経産省は公式Webサイトで7月25日時点で、予算残高が177億円になったと公表している。22年度予算としては430億円が事業費として割り当てられており、7月末までの4カ月間で予算額の半分以上を消費したことになる。所管の同省製造産業局自動車課は補助金の反響について「EVやPHV(プラグインハイブリッド車)の導入が各方面で促進されているということではないか」との受け止めを示している。
通常、行政の事業は補正予算などがない限り、予算額の上限アップはない。現時点で、補正予算などの予定はないとみられ、同課も「予算額に達した場合は、予算額に達した日の前日をもって申請受付は終了となる」と説明。申請状況や予算残高、終了時期についても「多少、前後する可能性がある」とし「時期を見て、最新の情報を公表したい」としている。
同補助金は、導入コストがガソリン車よりも高いとされるEVやPHV、FCV(燃料電池車)の導入促進を目的に、個人や法人の購入経費を補助する事業。車両別に補助金額が異なっており、EVは最大85万円、軽EVとPHVは同55万円、FCVは同145万円を上限に補助している。対象車種一覧は、補助金の事務局を担当する次世代自動車振興センターの公式Webサイトで公開している。
EVの導入補助金を巡っては、東京都も同様に「ZEV補助金」を実施している。経産省と東京都の補助金をダブルで活用することで、軽EVのサクラであれば、約100万円が補助され、実質200万円弱で購入できるとして、サクラの好調な販売を支えていた。補助金の動向が、自動車各社のEVの販売にどのような影響を与えるか注目を集めそうだ。
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