国内は3店舗に激減したのに「東京チカラめし」が香港で人気なワケ:あの店は今(3/4 ページ)
日本の国民食の1つ、牛丼。すき家・吉野家・松屋の牛丼御三家が君臨する中、“焼き牛丼”を武器に一大ブームを起こし、その牙城を切り崩そうとした存在を覚えているだろうか? 居酒屋チェーン「金の蔵」などを手掛けるSANKO MARKETING FOODSが運営する、「東京チカラめし」だ。
インドネシアやタイから出店の誘い
こうした苦労を経て21年6月22日、九龍の繁華街に香港1号店をオープン。家族連れを中心に利用客がつめかけた他、現地メディア約50社が取材に訪れたという。その後、9月に2号店を、12月に3号店をオープン。ロックダウンなどの影響を受けながらも、3店舗とも順調に営業を続けているという。
日本と香港、一番の違いは客単価だ。「日本だと500〜700円が相場ですが、香港で生活している人は収入が高く食費を節約しない傾向があるので900円以上が当たり前です」(華さん)。客単価の差はメニュー選びにも大きく表れている。
「日本だと単品の牛丼が基本で、そこにみそ汁を付けるか大盛にするかといった注文が多いです。一方、香港は単品の注文はほぼなく温泉卵、餃子、飲み物などとセットで注文するのが一般的です」(華さん)。客単価が上がったため、売り上げも当初の予想を大きく上回り、倍近くで推移しているという。
順調に香港国内での知名度を上げている東京チカラめし。今後の香港国内の展開について聞くと、意外な答えが返ってきた。「香港国内の3店舗は、今後の海外展開を見据えたテストの意味合いも持っています。それぞれ商圏やタイプが違う場所に出店しているのはそのためです」(華さん)。香港の面積は狭いので、店舗数を増やしすぎると自分の首を絞めることになる。「もちろん、4号店、5号店の構想はありますが、一気に香港内で何十店舗も出店することは『ない』と思います」(華さん)
現在、インドネシアやタイなど複数の国から出店の問い合わせがきているのだとか。香港を足がかかりに東南アジア全体、ゆくゆくは中国での出店を目指しているそうだ。
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