「仕事を調整したのに部下の残業が減りません」 働き方を観察して見えた意外な事実:49歳男性の例から考える(5/5 ページ)
「これだけ仕事を減らしたのになんで残業時間が変わらないんだ?」――狐につままれたかのようにつぶやいたのは、4月に総務部長に就任した木根さん(仮名、49歳男性)です。就任後最初の課題として取り組んだのは、部下の町本さん(仮名、32歳男性)の残業時間の削減でした。就任後にいろいろと試みたものの、思ったほどの効果が上がらずお手上げ状態になってしまったそうです。
具体的な対応方法
上記以外にも改善見込みのある残業は存在します。職場の雰囲気に流される残業であったり、先々の不安に駆られて必要以上に残業してしまうケースなどです。詳細は「上司に大激怒される「悪い残業」と評価される「良い残業」その違いとは?」を参照してください。
まず、単に「残業するな」を何度も連呼してもさほど効果はありません。言われた方は「現場も知らないくせに」とか「どうせ把握してないだろう」と、言われた人自身が本腰を入れるには至らないからです。本気で残業時間を減らしたいのであれば、その根本的な原因や課題を発見し、それを解消しなければなりません。
例えば、そもそも業務過多であれば業務量を減らすか、AIでも導入して劇的に効率化を図るしかないし、職場の風土が無駄な残業をせざるを得ない原因となっているのであれば、その風土を管理職自ら本気で変えていかないと改善はできないのです。
部下の労働時間をマネジメントし、効率よく成果を出すことは管理職の重要な役割です。「残業するな」だけではマネジメントとはいえません。ヒアリングはもちろんのこと、木根部長のように時間をかけて観察するなど現状を把握することから始めましょう。
一方で、労働者という立場で「どうしても残業を減らすことができない」と考えているのであれば、迷わず上司に正直に話し、素直に助けを求めてください。このような状態の場合は自分では原因や課題を明らかにできる状態にないことがあるからです。
何となく評価や評判を気にして一人で抱え込んでしまうと悪い結果を招く可能性が大いにあります。ひょっとしたらメンタル不全に陥っているかもしれません。自分を守るためにも、一人で考えこまず、上司や同僚の力を借りて解決を図ってください。
このように「これをやれば残業を無くせる」といった万能薬はどこにも存在しません。現状を把握し、それに合った対応をとること以外に方法はありません。やるべきは(1)現状把握する仕組みを作る、(2)課題解決のノウハウを共有する仕組みを作る、(3)個別ではなく組織で解決する仕組みを作るといったことが重要です。労使協力して働きやすい会社を作りましょう。
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