「仕事を調整したのに部下の残業が減りません」 働き方を観察して見えた意外な事実:49歳男性の例から考える(4/5 ページ)
「これだけ仕事を減らしたのになんで残業時間が変わらないんだ?」――狐につままれたかのようにつぶやいたのは、4月に総務部長に就任した木根さん(仮名、49歳男性)です。就任後最初の課題として取り組んだのは、部下の町本さん(仮名、32歳男性)の残業時間の削減でした。就任後にいろいろと試みたものの、思ったほどの効果が上がらずお手上げ状態になってしまったそうです。
町本さんの仕事の進め方
冒頭の木根部長が遭遇した例です。総務部長に就任後、町本さんの残業時間を削減しようとヒアリングを重ね、仕事量の調整をしてきました。1つ仕事を外しては現状を確認し、効果が出ていなければさらに別の仕事を外していきました。たまに効果が見られるものの、持続することはなく、すぐにまた残業をすることの繰り返しでした。最初は「こんなにも仕事を渡してしまっていたのか!」と前任の部長を批判していましたが、ほどなくその間違いに気が付くことになるのでした。
「町本君は自分の予定にあわせて時間を使ってたようです」
町本さんの残業が減らないことに業を煮やした木根部長は、ヒアリングではなく、町本さんを詳細に観察することにしました。
町本さんの日々の働きぶりをつぶさに観察していたところ、効果がある日とない日の働きぶりがまったく違うことに気が付いたのでした。その秘密は町本さんのプライベートの予定にありました。町本さんは夜に予定があるときはサクサク仕事を進めていたのですが、特に予定がない日は実にのんびりと仕事をしていたそうです。仕事量に応じて退社時刻が決まるというよりは、自分の予定に応じて退社時刻が決まっていたのです。
町本さん的には、その日の自分の使える時間があり、その時間に合わせて仕事をする癖がついていたのでした。だから、いくら部長ががんばって町本さんの仕事量を減らしても、残業時間削減にはいっこうにつながらなかったのです。
特に予定がない日はあらかじめ残業することを決めて出勤しているため、始業時刻後ものんびりとコーヒーを飲んでいたそうです。この件について木根部長が町本さんに問いただすと「固定残業の範囲内なので文句言われる筋合いはないと思っていた」とのことでした。その後、木根部長の指導により、町本さんの仕事量は適正量まで戻され、残業時間も大幅に改善されたそうです。
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