日本IBMが、欲しい人材を採れる秘訣 独自の採用チームの実態に迫る:ダイレクトリクルーティング事例(1/4 ページ)
日本IBMは、人材獲得にどのように取り組んでいるのか。“積極的な採用”を可能にするチーム作りと、ダイレクトリクルーティングの手法に迫った。
グローバルでは、採用活動で主流となっているダイレクトリクルーティング。近年、日本でもこの手法を取り入れて採用に乗り出す企業が増加している。DXを推進する企業が増えたことでデジタル系の専門人材の獲得競争が激化する中、日本IBMでは2013年頃からダイレクトリクルーティングを実施。今では年間かなりの規模の中途採用でこの手法を実施している。
同社の先進的な採用活動の内側を、佐々木智子氏(IBM Consulting タレントアクイジション シニアマネージャー)と中垣力也氏(Sales, Software and Corporate Functions Segment タレントアクイジション マネージャー)に聞いた。
“積極的な採用”を可能にするチーム作りとは
日本IBMの組織は、コンサルティングなどサービス系のビジネス部門とテクノロジー系のプロダクト部門の大きく2つのビジネス領域に分けられる。コンサルティングなどのビジネス部門では、人材の規模とスキルが売り上げに直結するだけに、採用活動は「人事」という枠を超え、経営に直結する最優先事項の一つに数えられる。
近年は、顧客企業のDX推進に対する要求の高まりもあり、コンサルティング先のDXをサポートする人材を積極的に採用している。具体的には、コンサルタント、エンジニア、プロジェクトマネージャー、デザイナー、データサイエンティストなどの人材を幅広く採っている。
「実際の採用活動においては、計画策定から母集団形成、選考、面接といった実行の領域まで、人事だけが活動の主体となるのではなく、経営側から示された中長期的な経営計画などを見ながらビジネス部門と密接に連携して行っています」(佐々木氏)
経営計画が示された際、注力すべきビジネス領域と人材ポートフォリオとの間でギャップがあれば、具体的には、既存社員のリスキリングで埋めるのか、新規採用で埋めるのかといった計画を立てるという。
具体的には、既存社員のリスキリングで埋めるのか、新規採用で埋めるのかといった計画を立てる。その際、特定のスキルや専門性を備えた人材を、どの部門で何人必要になるのかといった内容の採用計画を策定する。ビジネス環境や人材マーケットの動向は変化するので、計画は四半期ごとに見直しを実施するそうだ。
人事を担当する組織「タレントアクイジション」
日本IBMではどのような組織体制を組んで、経営に直結するといわれる採用人事を行っているのだろうか。
関連記事
- 優秀な人を欲しがる現場、見つけられずに悩む人事──「中途採用の壁」を壊すため、何をしたのか
DX人材の採用に注力し始めても、部門の要求が高く、マッチする人材がそもそも見つからなかった東洋エンジニアリング。開始から「半年間、成果なし」だった市場価値の高い人材の採用を、どのようにして軌道に乗せたのか。取り組みを聞いた。 - 「求人に応募がない」なら、人事自ら採りにいく 採用競争時代のダイレクトリクルーティング入門
近年注目度が上がっている攻めの採用手法「ダイレクトリクルーティング」。メリット・デメリットのほか、どんな企業において効果的なのか解説します。 - “採用競争”に勝つカギは「現場」にあり 採用担当が現場に理解してもらうべき4つのこと
ダイレクトリクルーティングにおいて、転職希望者と入社意向を高めるコミュニケーションを取り、自社そして採用予定部署の魅力を伝えられるのは他でもない「現場」の従業員です。採用担当者は、現場に4つのことを理解してもらわなければなりません。 - 「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。 - 「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.