「悲劇」を繰り返してはいけない 園児置き去り防止サービスの開発者を取材した:タダなので使ってください(2/5 ページ)
静岡県の認定こども園で、3歳の園児が送迎バスに約5時間置き去りにされ、熱中症で死亡した。再び悲劇が繰り返されたわけだが、防ぐことはできなかったのだろうか。園児置き去り防止サービス「QRだれドコ」は、バスの乗降管理ができる「バスモード」を搭載。どのように役立つのか、開発者を取材した。
QRコードのスキャンで「場所」と「時間」を記録
「QRだれドコ」は、21年7月に福岡県の双葉保育園で、当時5歳の園児が送迎バス内に取り残されて熱中症で死亡した事件を機に開発が始まった。南野氏には現在小学5年生になる息子がおり、息子が2年生のとき、乗ろうとしていた放課後スクールの送迎バスに乗れなかった出来事も関連しているという。
「おそらく息子は虫か何かに気を取られて、集合場所から少し離れたところにいたようです。当時は児童の点呼を行っていなかったことから、バスは息子を乗せずに去ってしまいました。スクール到着後に先生が気づいて大事には至りませんでしたが、何か対策が必要だと感じました」(南野氏)
「QRだれドコ」の基本機能は、園児一人ひとりに割り当てられたQRコードをスキャンすることで、場所と時間が自動的に記録されるもの。職員は「〇〇バス停」「入園」「退園」「公園」などの場所を選び、各園児のQRコードをスマホなどでスキャンすると、自動的に出欠確認が取れる仕組みだ。
「一覧表示にすることで、ステータスが異なる園児がいた場合に気づきやすくしています。また、データは園の職員だけでなく、保護者もリアルタイムで確認ができます。管理する人の目を増やすことで漏れを防げると考えました」(南野氏)
川崎幼稚園の会見や報道によれば、同園でもQRコードをスキャンして出欠確認を取るシステムを導入している。しかし、送迎バスを利用する園児については一人ひとりのQRコードのスキャンではなく、職員が手入力していた。
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