「悲劇」を繰り返してはいけない 園児置き去り防止サービスの開発者を取材した:タダなので使ってください(3/5 ページ)
静岡県の認定こども園で、3歳の園児が送迎バスに約5時間置き去りにされ、熱中症で死亡した。再び悲劇が繰り返されたわけだが、防ぐことはできなかったのだろうか。園児置き去り防止サービス「QRだれドコ」は、バスの乗降管理ができる「バスモード」を搭載。どのように役立つのか、開発者を取材した。
バスの乗降を管理する新機能「バスモード」
「QRだれドコ」は、22年8月末に新機能として「バスモード」を搭載、試験運用を開始した。バスモードは、システム上の名簿をもとに自動で園児を点呼、乗降させる仕組みを持つ。乗るべき園児が乗っていない、降りるべき園児が降りていないなどのミスがあると、アラートが出る。乗降記録は、管理者の職員だけでなく保護者も確認できる。
上記写真は、バスモードにおける管理画面のイメージだ。欠席や遅刻の園児はチェックを外すことで、その日バスに乗る予定の園児が示される。この名簿をもとに各バス停での点呼を行う。
各バス停で何人の園児が乗るのか、誰が乗るのかは、システム上に表示されている。バス停に到着したら園児のQRコードをスキャンすることで、自動的に点呼が完了する。
もし「乗るべきでない園児が乗った」、あるいは「乗るべき園児が乗っていない」場合、上記写真のようなアラートが出る。降りる際も同様で、「降りるべきでない園児が降りた」「降りるべき園児が降りていない」場合もアラートが出る。例外的に乗降させる必要があれば、例外ボタンで対処できる。
名簿の作成は手入力となることから、ヒューマンエラーが起きることは十分に考えられる。ただし、名簿が間違っていた場合には、QRコードをスキャンする過程でアラートが出るのでミスに気づきやすいはずだ。
とはいえ、QRコードのスキャンが漏れてしまえば、ミスに気づけなくなってしまう。正しい運用と確認者を増やすことで、ヒューマンエラーの防止につなげたい狙いだ。
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