【インボイス制度の一問一答】消費税の申告は、いつから必要? 登録通知を受ける前の課税取引は、適格請求書を再交付すべき?:インボイスQ&A
消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が令和5年(2023年)10月1日に導入されます。消費税の申告は、いつから必要になるのか、事業者登録をしてから登録通知を受けるまでの期間の課税取引は、適格請求書を再交付すべきなのか──など、インボイス制度の中身をQ&A形式で解説します。筆者は税理士の山口拓氏。
消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が令和5年(2023年)10月1日に導入されます。前回に続き、消費税の申告は、いつから必要になるのか、事業者登録をしてから登録通知を受けるまでの期間の課税取引は、適格請求書を再交付すべきなのか──など、インボイス制度の中身をQ&A形式で解説します。筆者は税理士の山口拓氏。
Q25 適格請求書発行事業者の登録の効力は、どの時点から発生するのでしょうか?
A25 登録の効力は、通知の日に関わらず、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日(登録日)から生じます。
具体的には、国税庁適格請求書発行事業者公表サイトに「登録年月日」として公表されている日です。このため、登録日以降の取り引きについて、課税事業者である相手方の求めに応じ、適格請求書などを交付する義務が生じます。
Q26 適格請求書発行事業者の登録通知を受ける前に行った課税取引について既に請求書を交付していますが、あらためて適格請求書などを交付する必要がありますか?
A26 適格請求書発行事業者の登録日から登録の通知を受ける日までの間に行われた課税取引につき、既に請求書などを交付している場合には、通常その請求書などには登録番号の記載がされていません。
そのため、通知を受けた後に登録番号などを記載し、適格請求書の記載事項を満たした請求書をあらためて課税事業者である相手方に交付する必要があります。
ただし、既に交付した書類との関連性が明確であり、書面などの交付を受ける事業者が適格請求書の記載事項を正しく認識できる場合に限り、適格請求書の記載事項として不足する事項を相手方に書面などで通知することによって、既に交付した請求書と合わせて適格請求書の交付義務を満たすことができます。
Q27 免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、令和5年分の消費税の申告はどのようになりますか?
A27 適格請求書発行事業者として登録を受けることによって消費税の課税事業者となりますので、令和5年10月1日から同年12月31日までの期間について消費税の申告が必要になります。
この場合、登録日の前日である令和5年9月30日に、免税事業者であった期間中に国内において譲り受けた課税仕入れにかかる棚卸資産や保税地域からの引き取りにかかる課税貨物で棚卸資産に該当するものを有しているときは、簡易課税制度の適用を受ける場合を除き、消費税法第36条第1項により当該棚卸資産または課税貨物にかかる消費税額について仕入税額控除の適用を受けることができます。
Q28 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合において、登録を受ける課税期間から簡易課税制度の適用を受けることは可能でしょうか?
A28 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、経過措置により登録日から課税事業者となります(前述Q8参照)。
この経過措置の適用を受ける事業者が、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署長に提出した場合には、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。
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