2015年7月27日以前の記事
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SOMPO、なぜ全社員を「DX人材」に? 6万人超にたたき込む“DX版読み・書き・そろばん”とは紙業務も残る中、なぜ?(2/3 ページ)

SOMPOホールディングスがグループをあげてDXを推進している。約6万3000人にも上る国内グループ全社員を3つのタイプのDX人材のいずれかに振り分け、研修を実施中だ。しかし、ルーツをたどると明治時代にさかのぼるほどのレガシー企業だけに、アナログ文化も残っており、変容を遂げるのは簡単ではない。

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DXは一つ一つ地道な努力が必要

 前述のように、DX人材を3つにカテゴライズした意図はどこにあるのだろうか。

 「DXを推進するうえで、データサイエンティスト、エンジニア、UI/UXデザイナーといった専門性の高い人材が欠かせないことは自明の理です。しかし、DXとは、ビジネスの在り方をデジタルの力で変容することです。そうなると、トップから末端まで全社員が一定以上のデジタルスキルを身に付ける必要があります」(有田氏)

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人材の分類(資料は同社提供)

 「現場のビジネスを十分理解している社員が専門人材と会話できるデジタル知識を習得することで、ビジネスの課題を解決し変革を促すための原動力となり得ます。そのような人材を育成するのが狙いです」(有田氏)

 また、DXを牽引する役割を担う(1)DX企画人材を中心にデジタル化を推進するにしても、それを業務に活用する担当者のデジタルに対する意識が低ければ、DXは進まない。DX人材を役割別にカテゴライズしたうえで、全社員を育成対象とする背景には、アナログ文化に染まった現場のマインドを変える意味もありそうだ。

 「保険会社では多くの代理店と情報のやりとりが発生します。代理店のなかには、FAXを利用しているところも多く、相手に合わせて紙を中心にしたコミュニケーションになってしまうこともあります」(有田氏)

 保険業は裾野の広い業種だけに、ステークホルダー全体でデジタル化の足並みをそろえることの難しさはある。ただ、エンド・ツー・エンドでデジタルデータのやりとりが可能な体制を構築し、全体最適化を目指さなければDXの意味がない。

 「代理店向けに各業務に最適化されたアプリを提供するなど、一つ一つ地道な努力が必要です」(有田氏)

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